恋人になって、そんなに経ってないから彼女の手に触れるのも正直緊張しちゃう。
横にいる彼女を見る。
透明感のある肌、柔らかい髪の毛が揺れていて、とてもキレイだと思った。
だから余計に胸が高鳴る。
無邪気な笑顔を見ていると触れるのもためらっちゃうけど、それでも手を伸ばして彼女頬に触れて抱きしめたい。そんな気持ちが溢れ出す。
柔らかいものが指に絡められて心臓が跳ねる。
パッと彼女を見つめると、ほんのりと頬を赤らめながら微笑んだ。
困ったな。
彼女を抱きしめたいよ。
おわり
六五四、欲望
慣れた場所から新しい街へ始めの一歩を踏み出そうと思ってる。
自分を変えたいからこそ、私のことを誰も知らない街に行くつもりだ。
見知らぬ人達と出会い、新しい縁を紡ぎたい。
どんな未来が待っているかは分からないけれど……。
私は顔を上げて大きいキャリーを引きずっていく。
遠くの遠くの街へ。
おわり
六五三、遠くの街へ
はあ……。
今日の失敗はダメなやらかしだった。
お客さんの迷惑になってしまってしまい、私じゃどうにかできなくて社長に頼ることになってしまった。
もう落ち込み方がエグくて食事も喉を通らなかった。
食欲が出てこないけど、カロリーは何とか取りたりたくて炭酸飲料にバニラアイスを乗せる。
「簡易クリームソーダぁ!」
カラ元気を出し切って無理矢理口に含む。
喉がシュワシュワするし、アイスの甘さが広がった。
「んー、おいしー!!」
やっぱりこれがいい!
「メロンソーダがあればもっと良かったんだけどねぇ」
……。
なんて言っても、今日のことは頭に過ぎってしまう。
この落ち込んだ気持ちは現実逃避しても拭えない気がした。
私は両頬を思いっきり叩く。
凹むだけなら時間を無駄に過ごしちゃうだけだ。
今日、何があったかを思い出そう。
その中で、今日のミスを防げるものがなかったか、自分の中でフィードバックしよう。
同じミスを繰り返さないように。
おわり
六五二、現実逃避
思いもかけずに彼女へ気持ちを伝えて、彼女からも同じ想いをもらった。
そんな時間から一晩経ち、今日も普通に仕事をしている。
しているんだけど、変な高揚感があってなんでも上手く行くような気がしてしまう。
彼女は今。
どんな気持ちでいるのかな。
俺と同じ気持ちだったら嬉しい。
おわり
六五一、君は今
地味な凡ミスなんだけれど、特に注意していたことをミスってしまい地味に凹んでいた。
「はあ……」
のんびり外に出ると、曇天が広がっていた。
物憂げな空が今の俺の気持ちとダブってより気が重い。
身体を絞めて来るような重さが、怠さを増して気分がより気落ちしてしまう。
「あれ、どうしたんですかー?」
気になる彼女が視界に入り、華やかな笑顔を俺に向けてくれて胸が高鳴る。
「あ……」
俺の顔を見た彼女はカバンから炭酸飲料を差し出した。
「さっき見つけたんです、クリームソーダ味!」
差し出された炭酸飲料を軽く受け取る。
重さを感じず変に力んでいた身体の力が抜けていく気がした。
「ありがとう」
安心したように微笑んでくれる彼女を見て空は変わらないのに、心が晴れていくのを感じた。
おわり
六五〇、物憂げな空