雨音が聞こえて目を覚ました。
私はベットに寝転んだままカーテンの隙間から雨雲を見ていた。窓に落ちる雨粒がゆっくりと流れていく。
雨のせいか、夢の中でとても懐かしい友人が出てきた。今はもう話すこともできなくなってしまったから、夢の中で久しく話せて嬉しかった。夢だとしても嬉しかった。
雨音、追憶、誰よりも優しかった友人―。
やさしい雨音の中。
見送った君はとてもきれいな笑顔を浮かべ、手を振っていた姿を雨が濡らし、滲ませていった。
貴方の歌声に救われました。
落ち着いていて、澄んだ水のように耳触りが良く、心に響きました。貴方の歌を聴くために足繁く通った公園も今では遠い記憶。
でも、それでも、貴方の影と貴方の歌声が今日も蘇ります。
どうかこのままいつまでも、私の中で響き続けますように。
竹藪の中は静か。
僕の影が辺りの闇に溶け込んでいる。月明かりは幾重の雲で遮られている。
僕を包み込んでくれる光はどこにもない、僅かに吹く風は撫でるように肌に触れ過ぎ去る。
竹藪の中は闇の中。
時間はない、取り戻せない、引き返せない、過去や未来には誰もいない。竹藪の中には僕一人、闇だけが僕を包み込む。
―夜がいつまでも明けない…。
あぁ、今日がまた終わる。夜が来て、朝が訪れて、太陽が巡り、月が苦悩している人を優しく包む。
気分が落ち込む日は早くに眠る。今日を長引かせない為に。朝が来たら、カーテンを開ける。
昨日と違う私を見せつけてやる。
私は意気込み新しい時間〈今日〉を生きていく。
あれだけ嫌だった朝が今では待ち遠しい。日の出を見ていると、新たな時間が動き出すような気さえする。
憧れている貴方に早く会いたい。他愛もない会話で笑う姿が脳裏に浮かび、胸が鳴る。目の前が明るくなる。
日の出が上がる度、私は貴方を想う。