晴れた日曜の午後。
僕の腕の中ですよすよと眠る娘。
広い公園で思っいきり遊んで、疲れたようだ。
汗と泥で汚れた服は娘お気に入りの服で、
きっと起きたら「きれいにして」って泣くんだろうな
僕の服をぎゅっと掴む手は小さく
ぷにぷにのほっぺはとても可愛らしい
一体いつまで、パパとんでくれるのか?
僕はいつまでこの子を抱き上げられるのだろう?
きっとこんな幸せな日々はあっという間に過ぎてしまって
お父さんの洗濯しないで
とか言われるようになるんだろうな……。
そんな直ぐに来てしまう未来を思い描く
反抗期の頃には
一生懸命、お洒落して、化粧して
そのままでも可愛いのにたくさんの努力をするのだろう
それは楽しみな未来だけど
まだもう少しこの生活を平穏に過ごしたい
ーーこどものままで
「世界一キレイな蝶って知ってる?」
そう聞いてきたのは誰だっけ?
でも確か私はこの問いに答えられなかったんだよな。
だから適当に知ってる名前を言ったんだったけ?
そしたら、「それは、お前な」ってバカにした
返しをされたな。
お前よりもっと美人がいるんだよって……?
………んだとゴラァーー!!!!
ーーモンシロチョウ
僕は中学生とき1回だけ家出したことがあるんだ。
特に理由があった訳では無い。
何となく家から出たくなった。ただそれだけ。
たった数日だけのちっさな逃避。
そして、3日くらいたった日に腹が減ってたまらなかった。
その時どこからともなくいい匂いが漂って来たんだ。
抗えない甘い匂い。
そんな匂いにつられて行った先にあったのは小さい小さい建物。
道の奥にあって、誰が来るんだ?
ってくらい見つけづらそうな場所にある建物。
匂いは間違いなくここから来ている。
そっと木の扉を開いたの。
中には丸っとしたおばさんと、紳士って感じのおじさんがいた。
びっくりした2人の顔を見て、僕は涙が溢れた。
お母さんに会いたい。家に帰りたい。って
そんな僕を見て二人は何か言う訳でなく、
ただそばにいて、ホットケーキを焼いてくれた。
「特別だよ?」
って4段に重なったキレイなホットケーキを焼いてくれた。
ふんわり香るバターの匂いと
黄金に輝くメープルシロップの甘さ
わがままで飛び出した僕に
与えてくれたこの温かさを
きっと僕は
ーー忘れられない、いつまでも
将来の夢は?と小学生の頃から言われ続け、何となく将来は…なんて考えてきたけど……。
この歳にって、「将来」よりも「○年後」を聞かれるようになってきた。
毎日が必死で、明日のことすらまともに考えられないくらいの日々を送っている私に、来年のことを聞かれても難しい。まずは明日で、その次は1週間後。
そんな毎日を繰り返した先にあるのが1年後であり、起きて寝てを繰り返した先にあるだけのもの。
どうなっていたいかを考える未来などではない。
こんな考えが、自分の将来を潰していくのかもしれない。
そして、きっと1年後も2年後も、5年後、10年後すらも、同じように明日すら考えない日々があるのかもしれない。