NoName

Open App
10/16/2023, 7:28:40 PM

 朝の光で目覚めるのは、社会競走のスターターピストルの音が頭に鳴り響くような気がして苦手だ。
だから朝日が昇る前に生活を始める。自分だけフライングしてルール無視の1日を踏みしめられる気がする。

 数年前は、日がこのまま昇らないでくれと自殺願望に似た何かを願いながらベッドで怯えていた。


 朝日に怯えず強くなれたのは、窓際のベッドでおかしな寝相で寝ている彼女のおかげだ。
「どうやったらそんな体勢になれるんだよ」ツッコミを入れながらコーヒーを淹れる。
今日もコーヒーが苦いことを確認してから視線を寝相に戻す。

今日も日が昇る。
窓から差し込む光は、寝顔に反射してやわらかくなって僕の目に届けられる。
今日も生きていこうと活力が湧く光。
残酷な1日の始まりを寝ているだけで美しいものに変えてしまう魔法に惚れ惚れする。

あしたも日が昇る前に起きようと決意する。

10/9/2023, 8:46:22 PM

ココロオドル光景を最近見た。
コンビニのバイト中、ふと出入り口に目をやると留学生っぽい多国籍な男女の集団。
全員の視線と仕草を眺めるとなんとなくその関係性を見透かしたような気になれる。

顔の整ったブロンドの女性は、他の男性の視線を常に奪っている。
初対面ではないけれどよそよそしい雰囲気。それぞれ大きな荷物を持っていて日本に来たばかりなのだろうと、大雑把な推察。

目が輝いている。日本に来れたこと、美人がいること、多分そんなこと考えてワクワクしてるのだろう。
今の気持ちをインタビューしてみたい。多分カタコトの日本語でココロオドルゥと答えてくれるだろうから。

9/16/2023, 4:09:36 AM

 君からのラインは来るはずもなくまた今日を迎える。
おはよう。毎日の朝は、過去の私にあいさつと呪いでトーストとコーヒー。

 君の気持ちに気づいていながらそしてどうしようもなく君のことが好きだった私はその本気さゆえ君とラインをしない選択をした。 
何も自立できていなかった学生は君を幸せにできないと考えたらしい。

今君は学生と付き合ってる。

君の幸せを考えるのはただの私のエゴで、あなたの幸せを願うことが私の幸せだと気づいたからまた明日からコーヒーとトーストを眺めて願うことにした。