高校に入学して半年、
友達も出来たし、そこそこ楽しいし、特に辛いことがある訳じゃないけれど、
ただ、学年がひとつ離れたキミとなんでもないとりとめもない話をするあの時間に戻りたい。
キミは頭がいいし、きっと同じ高校にはならない。
分かっているし仕方のないことだけど、繋がりが、細く薄くなってく気がして少し切ない。
中学の先輩なんてこの先ずっと覚えてもらえることなんてほぼないと思う。実際に私も16年間生きてもう既にうろ覚えの先輩も多い。
私はキミのこと多分絶対忘れないけど、キミは私の事忘れるかも。
それでもいいけど、ただ、少し、欲を言うなら、
どこかで会った時はまたキミととりとめもない話がしたいな。
だから、出来れば覚えててね
誰にでも翼はあると思う。
目標を持っている者。何かに熱中する者。夢を叶えた者。そういう人たちが所謂「飛べる翼」を持っている者だと思う。逆に「飛べない翼」の持ち主もいると思う。平凡な、目標もなく、何もかもが普通な俺みたいなやつ。すごいやつを見ればいいなとかアイツみたいになりたいとか思わない訳じゃない。でも、結局諦める。俺みたいなやつには無理とかそれらしい言い訳を考えて。まぁ、努力もしないやつがすごいやつになりたいとかチヤホヤされてみたいとか烏滸がましいってもんだよな。
でも、やっぱり、、、
もし、もしも、努力をしたのなら、
俺も「飛べる」だろうか。
さわさわと秋の風に揺られるすすき畑が太陽に照らされて幻想的な光景が広がっている。数ヶ月前に帰ったばかりなのになんだかひどく懐かしく感じた。彼女と一緒に数ヶ月前に見たときはまだ緑だったすすきはきれいな赤褐色に染まっていた。
数ヶ月前、結婚の報告に来た両親に今日は婚約者の死を伝えに来た。
「穂乃香が死んだ。」
そんな、今世紀最大と言っていいほど最低最悪な報告を受けた。
飲酒運転だそうだ。
彼女の訃報を悲しむ間もなく慌ただしく葬式が行われた。彼女の両親が言うにはこういうのは早めに終わらせた方がいいらしい。分かってはいてもこの両親には心がないのかと憤りを感じていた。しかし、葬式の夜、誰もいなくなった会場で肩を寄せ合いすすり泣いている2人の姿を見て自分がどれだけ最低なことを思っていたのか思い知った。当たり前だ。自分の娘が死んで悲しくない親などいない。1番辛いのは遺族に決まっている。
彼女とは結婚を約束した仲だった。
お互い両親にも挨拶を済ましあとは結婚だけだっと言うのに。どうして、、
そんなどうしようもないことを考えながら彼女と来たすすき畑に突っ立っていた。
彼女の死を伝えた後だからか、彼女の死自体のせいかそれとも秋の哀愁の雰囲気のせいなのかただただ虚しく感じて呆然と1人、「すすき」を見ていた。
初めて会ったあなたは正直ふざけてて妙に馴れ馴れしくて苦手だった。上下関係とか気にする方じゃないけど私より歳下なのに急にタメ口で話しかけてくるのは驚いたし。変なあだ名で読んでくるし。いつもからかってくるし。
でも、いつからだろう。そんなあなたと話せることが会うことが楽しく嬉しいことになったのは。
だんだん仲良くなってきてたくさん話すようになって実は同じ塾に通っていたり小学校の時にやっていた水泳のクラブも同じだったり理科や数学よりは社会とか国語の方が得意だとか意外に共通点があったのを知った。
普段はすごく明るくて元気なのに意外にLINEは塩対応だったりするのもなぜか返信はカタカナが多いことも接する中で知ることは全部嬉しかったし一緒にいて楽しかった。
今まで好きな人はあなた以外にもいたけれどもしかしたらほんとに好きだったのはあなただったのかもしれないなぁ。
今はもう接点のないあなたとわたし。