「冬は一緒に鍋でもどうですか?」
「…お誘いとしては惜しいかな。」
「えー。じゃあどういえば正解なの?」
「正解はわからないけど、その誘い方だと春夏秋は一緒に鍋食べてくれないのかなって感じる。」
「めんどくさっ。」
僕の妻は、面倒くさい。
他の人が気にならないような細かいところを気にする。
「わかった、これならどう?」
「春も夏も秋も冬も、ずっと一緒に鍋食べようね。」
考えに考えた渾身のお誘いをかます。
「『毎朝僕に味噌汁を作ってください』っていう王道プロポーズの鍋版みたいでおもしろいね。」
と笑いながらそう答える妻。
「せっかく正解導こうと思って考えたのに!知らぬ間に2度目のプロポーズしちゃったじゃん!恥ずかしい!」
僕の妻は面倒くさい。
でも、僕は妻といるのが楽しくて大好きだ。
231218 冬は一緒に
毎日しょうもない質問を投げかけてくるこの人は一体なんなのだろう。
今日は、
「ごはんにシチューかけて食べられないよね?」だった。
「え、美味しいよ?」と返すと、
「…そうなんだ!んじゃ俺もやってみようかな。」なんて返ってきた。
どんな返事でも理解を示してくれるのが毎回の流れ。
あなたのとりとめもない話の意図は正直わからない。
でも、わかることがひとつだけある。
それは、あなたとしょうもない話をするのが楽しいってこと。
会話が苦手でそっけなく返してしまうことの多い私。
それでも毎日話しかけてくれて私の意見を理解もしようとしてくれる。
明日はどんな話ができるかな?
231217 とりとめもない話
連絡が途絶えた。
嫌われるようなことはしてないはずだ。
なんならあっちから連絡が来ていたのにどうしたんだろう。
…あれ、俺もしかして駆け引きされてる?
でも付き合ってるのに駆け引きってするものなのか?
えーい!知らん!会って直接聞こう!
そう意気込み、あなたの家に着いたのがさっき。
どきどきしながらチャイムを鳴らす。
…出てこない。
そういえば…と合鍵をもらっていたことを思い出し、これまたどきどきしながら初めてそれを使う。
扉を開けて声をかける。
「お邪魔します…」
返事がない。
「おーい、いないのー?」
…人の気配はするのに返事がないことに一抹の不安を覚え、慌ててあなたを探す。
「あれ…?来てくれたの?」
…明らかに体調を崩したあなたの姿を発見。
話を聞くと、一人暮らしを始めて初風邪をひいてどうしようもできずひたすら寝ていたとのこと。
「心配したでしょうが!」
お母さんのような言葉をかけつつ、あなたが無事なこと、あなたに嫌われていなかったことに安堵。
そしてあなたに頼られる存在でありたいと強く思った。
「…お願いだから、俺を頼って。」
231216 風邪
雪を待つ。
待てども待てども降りはしない。
「雪は降ってないけど寒いから…」と、手を繋ぐお誘いをした。
「…暑かったら繋いでくれないの?」
いじわるだけど、可愛い。
手を繋ぎ、歩く。
ほどなくして空からはらはらなにかが降りてくる。
「雪だ!」
君が嬉しそうに言う。
雪を見つめる君の嬉しそうな横顔。
君にかかれば雪もきらきら輝いて見える。
去年までと違って寒いだけじゃない冬がやってきた。
231215 雪を待つ
いつも通り、仕事終わりに俺の車で一緒に帰る。
いつもの帰り道。
いわゆるカップルや家族連れで賑わうイルミネーションとは程遠い。
だけどお前と一緒なら、
車のライトや街の電灯もイルミネーションに早変わり。
俺の日常に彩りを与えてくれる存在。
隣にいてくれるだけでしあわせだよ。
いつも、ありがとう。
231214 イルミネーション