ダチョウ団長

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12/30/2024, 2:40:39 PM

『一年間を振り返る』


この施設の管理者になって一年、まだまだこれからだが、一区切りだ。

報告書に目を通す


【No.001「秤」/総合報告書】
30◾️◾️年誕生


記録は以上、これ以外何もわかっちゃいない。

ここ200年とちょっとで調べるも何も出ず。

No.001の観測により、人類の前に姿を現した特殊生命体、ナンバーズと呼ばれる者たち。人類は脅威となりうる彼らを宇宙へと送り、未開の地で調査を進めた。

その後31世期ごろ管理体制の整った初代収容棟が完成する。

その後沢山の収容棟、いや、観察・調査・記録棟が建てられていった。


そんな200年の歴史のなかで、俺の管理者になってからの一年なんて大したことはない

そんなでかい無駄事を考えつつ、ちっぽけな。今年、一年を振り返り、記録する

仕事に揉まれあっという間に過ぎた。
歴史は偉大だ。あっという間と散々言っている一年。その積み重ねで生まれた。

一年を振り返るというのは、あっという間を終わらせない、歴史への一歩なのかもしれない。



【32◾️◾️年/年間記録書】(一部公開)

死者数:◾️◾️◾️◾️◾️人
新特殊生命体:No.5◾️◾️~6◾️◾️
調査記録数:◾️◾️◾️
観察記録冊数:◾️◾️◾️◾️

12/29/2024, 3:05:41 PM

『みかん』

No.037「みかん」

【No.037/総合報告書】
No.037はこの宇宙では対処できない量のエネルギーを保有している
し18◾️◾️年◾️月◾️日にそのエネルギーが爆発し、世界の終わりが訪れる。

17◾️◾️年◾️月◾️日からの研究、調査によりこたつの上に置くことで、エネルギーの膨張を抑制ことができることが発見された。現在32◾️◾️年現在ではこたつを離れて約67秒後に爆発するエネルギーを保有していることがわかっている。

こたつに置いておく限り危険はないので、現在は遠隔監視のみの管理を行なっている


12/26/2024, 2:02:56 PM

『変わらないものはない』

俺の仕事はNo.E-007「愛の形」の観察、そして調査の総括だ。
特殊生命体、ナンバーズの中でも、識別番号がついたさらに特殊な個体。識別番号E、感情の形シリーズ。

No.E-007「愛の形」
No.E-019「夢の形」
No.E-114「喜びの形」
No.E-387「怒りの形」

記録員に渡される資料に目を通す
【識別番号E/総合記録(一部抜粋)】
以下の条件下において識別番号Eとする
①形が球体であること
②レベル1の光を発していること
③観察結果が常に一定であること


感情の形は、ほとんどの場合同じ観察員により観察が行われる。常に状態が変わらないことを確かめるためだ。

資料の007の特徴が記載されたページをめくる

【No.E-007/観察報告書】(一部抜粋)
007が発する光に当たった調査員がもう一度、もう一度と007の調査を申請するようになった。申請を拒否し、調査員を007から隔離させたが、観察開始◾️時間後、◾️◾️:◾️◾️に調査員は007が保護された部屋に訪れ、話しかけている様子が見えた。その後調べると、施錠された部屋の扉は叩き壊され、調査員の手は扉に打ち付けたのか、レベル1の出血を起こしていた。

俺が書いた報告書、俺が007をモニター越しに見た状況だった。
その後、合計57人の調査員に光を当てたが、なにも変化は見られない、007の観察・調査結果は変わることはなかった




57 人の調査員と1人の観察員が、突如として姿を消した。007が保護されている施錠されていたはずの扉は開錠されており、そこにはただ、No.E-007がポツンと佇んでいるだけだった。



その後も、007の観察・調査結果は変わることはなかった

12/25/2024, 5:48:45 PM

『クリスマスの過ごし方』

地球では今日、クリスマスだ。

私の仕事は少々特殊かつ危険で、地球外で行われている。最年少で試験を突破し特殊生命体ナンバーズ調査の資格を得た

何かの運命か、いや、こいつの調査は毎年の12月25日。運命でも、なんでもない。今日はサンタを調査することとなった。

No.088「サンタの悪夢」
確認情報:寝たきりで動く事のない赤い服を着て髭を生やした地球で語られる「サンタ」の容姿と酷似している。088は毎年12/25に夢を見る。夢に映るのは4~5歳の子供。夢に映る人物は実在しており、全員が亡くなっている。
死因、死亡時刻等に共通点はなく、その年死ぬ子供を映し出していると思われる。

今回も、例年通り夢の監視を行う。専用の管を繋げ、サンタの悪夢と同調する。
子供が80人ほど映し出されていく。全員を記録し、0:00に近づき日を跨ごうとした時。夢の同調が断ち切られた。最後に見たのは鏡、鏡に写されたような、自分の姿。
近くに、プレゼントが落ちていた。




追記:サンタの悪夢は、死ぬ間際の子供たちにプレゼントを渡している。それが災いし子供達が死んでいる見解もあるが、一般的には、これから死にゆく子供達のため、善意でプレゼントを送っているという見方が多い。実際に中身はお菓子やおもちゃなど、子供が喜ぶものばかりだ。


ただ、渡されたものは死が近いので「死のプレゼントボックスとも呼ばれている」