君が居なくなって、誰もいない水の中で考えてた。もう水槽の底に背中が着いていた。溺れようと思っても、溺れないんだ。
いつも水の底から引き上げるのは君で、また水に落とすのも君だった。でも俺は立ってしまった。自分一人で。また水に落とされた時、今度こそしんじゃうんじゃないかと思ったのに、俺は次の瞬間ぽつんと膝丈程度の水の水槽に立っているだけだった。君がどこへ行ったのかも、なにを考えていたのかも、わかるような気がするけど、解りたくない。だって、そんなちっぽけなものだったの?そう言いたくなるから。
でも、きっと溺れなくなった俺も同じなんだ。
簡単に立ってなにも思わなかった俺も同じ。どうしてこうなったのか、分からない。
誰か教えて欲しい。
好きな映画の話とか
来年からはどこに住むのかとか
会える距離だねって言われて
なんとなく返す23時
別に嫌いになってもいいけど
いややっぱ嫌いにならないで
頑張って誘ったわたしがバカみたいじゃん
惚れるとか 好きとか 単純な 言葉を簡単に吐かないで
寂しいも 嬉しいも 欲しいの 案外似た者同士かもね
わたしの返信で困ってる 君を見るのが楽しみなの
意識してない所で 悶えてる姿も好きなの
魔性の女とか言われるけど 君の方が大概じゃん
君って案外わたしがどれだけ君を好きか知らないよね
分かりやすい君が好き
笑顔の君がなによりも好き
優しい所も好き
気遣いできる君が好き
君オススメの映画を 引っ越し先で一緒に観たいな
なんとなくじゃ物足りない 本心が言いたい
雨って家にいることを許されてる感じがして好き
それは、ちっちゃな宝石だった。暗闇のなかで、ただひとつ黄色にピカピカ光る宝石。それさえ見つければ、幸せになれるんじゃないかと思った。
「ん……」ぼんやりと部屋の景色が見えてくる。まだぼうっとしていたいなと思うのに、手探りにスマホを探してしまう。後ろ手に枕の下から引っ張り出して、寝返って両手でスマホを掴みながら画面をのぞき込む。SNSの返信…は、まだ来てないか。Instagram、Twitter、discord…指を滑らせて開いていく。何時間も前に来ていたら大変だ。どれにも通知が来ていないことを知ると、ため息をついた。できるだけ最小限の動きで体を捻ってベッドから降り、スリッパを履く。リビングに向かうその間も、SNSを行ったり来たり。昨日は遅くまで電話したんだっけ。見ればチャット欄に記録が残っていた。3時間半もやってたのか……。最近、もっぱら色々な人と繋がって、チャットをしたり電話をしたりしている。
でも……
「なんで寂しいって思っちゃうんだろ」
結局、起きてみればそこには自分しか居ないんじゃないかとか、スマホを切ってしまえば1人なんじゃないかとか、そういうことを考えてしまう。
麦茶をグラスに注ぎながら、光る宝石のことをぼんやりと思い出す。とにかく大勢と、誰かと繋がれば、宝石が見つかるんじゃないかと思った。けど……見えるのは何もない暗闇だけ。
ピコン♪
「あっ、通知………あはは、俺のリプに笑ってる」
俺の笑い声が、一人ぼっちのリビングに響いた。
元気してる??大丈夫?
今のあなたはね、まだまだ知らないことだらけだよ。
でも辛いことがあっても大丈夫。
自分の楽しいをそのまま信じてね。
10年後のわたしより
10年前のわたしへ
元気??どう?
色々あると思うけどたくさん吐き出していいんだよ。
自分の楽しいって感覚を信じてね。今はまだそれでいいよ。必要なことなんて結局あとで知ることになるから。布団かけて暖かくして寝てね!あと妖怪ウォッチを1週間も借りパクするなよ!カセット買いな!