お題︰これまでずっと
ははは!バカみたいだ!本当にバカみたいだ!
これまでずっとひとりぼっちだったんじゃないか!
今初めて一人じゃないと思ったことがその証明だよ。
本当にバカみたいだ!バカみたいだ!馬鹿みたいだ!
不思議と気分が晴れてる。
スキップでもしたい気分だ。
ここ最近で一番愉快だ。
はは、あはは!
ばかみたいだ。
お題︰目が覚めると
ハッと目が覚めると愛しい人が鼻血を垂れ流して横たわっていた。懸命に腕で体を支えて起き上がろうとしている。血で顔を汚して、小さな血だまりを作りながら。
「ごめ、ぅっぐ……ごめん、ね、けが……けが、してなあい……?」
酷く腫れ上がって垂れた左目を更に垂れさせて微笑を浮かべた。右手は腹部を庇うように抱えている。きっと殴られたのだ。誰に?
「お前、怪我して」
「ちがう、あなたが、怪我っ……ぉエ……う、ごめ……ごめなさい、あなたは、怪我してない?」
「……してない」
果たしてなんと答えるのが正しいか、その知識も教養もなかった。全身ボロボロになって肩で息をしても尚他人の心配をするこの人に何をすればいい、何ができる。
「そう、よか、た」
今にも吐き出しそうに嘔吐いている。ガクガク膝が笑って上手く立ち上がれないようだ。目が合うと、また、じっとり微笑んだ。
「ちょっ、と、お手洗い……すぐ、戻るから、ね」
ズル、ズル、壁を伝って歩く。鼻血が頬を伝って、壁に赤い線を描いていく。
何がなんだか処理しきれない。ただ相手の状態しか理解できずじっと見つめる以外体が動かない。
また目があった。
「だいじょおぶ……だいじょおぶ、あったかいココア、いっしょに、のも、ね」
再びばったりと倒れてしまった。気絶するのは初めてだ。一体どれほど殴ったのだろうか。
あ。
目が覚めるとここはゴミ屋敷だった。ストレスで物を投げ散らかしていたことに気づく。握りしめた右手の血に気づく。目が覚めて、自分のせいで愛しい人が鼻血を垂れ流して横たわっていたことに気づいた。目が覚めて、しでかした事に、気づいた。
お題︰街の明かり
やっと最後の階段を登りきって丘の上までやって来た。ポワポワ、オレンジに光る街が小さく見える。雪で指先が凍える中、ようやく帰ってこられたんだと安堵した。ポワポワ、街の明かりが僕の命を繋いでくれたような気がする。光があたたかい。
お題︰星空
星空を眺めていると決まって金平糖が食べたくなる。
きれいなものは瓶に入れたい。
けれど星は掴めない。
金平糖は瓶に入れられる星だから丁度良かった。
お題︰この道の先に
人生の道かと瞬時に思った。
道すら見えてねーのに道の先とか聞かれても分っかんねぇーよ!!!!
というのが本音である。
「この道の先に希望がある」
「この道の先に幸せがある」
こんなもの反吐が出そうだ。
何か素敵なことが書ける人生を歩んでいない。
心底ひねくれていると思う。
寂しい人だ、と言われるのも頷ける。
これは確かに寂しい人だ。
輝かしく明るい日々を送れない寂しい人。
かと言ってだから何なんだと問われると分からない。
この人生の道の先に、延々とこの課題は引っ付いてくることだけは分かる。
考えたくない、見たくもない。
それ以外は殴り飛ばしてしまいたい。