地元の七夕祭り
初めて2人で待ち合わせ
ソワソワしながらキミを待つ
カラコロ下駄の音と共に
少しハニカミながら近づいてくるキミ
「可愛い」と言いたいのに
キミの姿が眩しすぎて
顔を見ることが出来なくなった
ぎこちなく手を繋いで出店を回る
キラキラしたキミの表情を直視できないから
チラチラとキミの姿を盗み見ては
友達に見せびらかしたい気持ちと
誰にも見せたくない気持ちが
ぐるぐるぐるぐるループする
短冊が置いてある場所に付き
お互いに願い事を書く
「恥ずかしいから見ないでね」
キミは言う
「来年も一緒に七夕祭りに来れますように」
口ではうまく言えないから
短冊に願う
それを見て少し驚いた顔をした後に
「同じこと書いてる」
嬉しそうに笑顔を見せるキミ
その笑顔に吸い込まれるように
キミから目を離せなくなる
思わす抱き締めたくなる衝動を抑えて
思わず「好きだ」と呟いたその顔は
キミの帯より赤かったかも知れない
あぁ神様
あなただけが知っていると言うなら
教えてください
私はいつまで
この子の
あの人の
笑顔を見ていられますか?
叶うことなら
この子と手を繋いで歩きたかった
叶うことなら
あの人と平凡で穏やかな時を過ごしたかった
あぁ神様
あなたは知っていたのですね
この身が滅び
この子と手を繋いで歩くことが出来なくて
あの人と平凡で穏やかな時を過ごすことが出来なくても
この子と
あの人の
笑顔を見守ることが出来ることを
時々ふと振り返る
決して目では見えることのない
自分が歩んできた道
消してしまいたいことや
忘れたくないこと
けれども決して戻ることの出来ない道
この先の道がどこに繋がっているのか
目には見えないけれど
この先もきっと
何かにつま付いたり
何かに驚いたり
時に立ち止まり
時に迷い
泣いて笑って
華やかとは程遠い砂利道を
不器用に1歩1歩進んで行くのだろう
ジリジリと
容赦なく照りつける日差しの中
思い出すのは白く細い母の手
麦わら帽子をそっと頭に乗せ
微笑む母の顔
つられて笑ったボク
なんだか無性に楽しくて嬉しくて
母の手を引っ張るように
見慣れた景色の中歩き出した
いつの間にか小さくなった母の手を
そっと支えて
夕焼けを背に
見慣れた景色を歩いている
サラサラサラサラ
風が生み出す葉擦れの音
キラキラキラキラ
木漏れ日に一瞬目を奪われ
ガラスのフレームの向こうに見える
あなたの姿を無意識に目で追って
サラサラサラサラ
風になびく前髪
キラキラキラキラ
大きく手を振るあなたの笑顔に心を奪われ
ガラスのフレームに映る
親友(かのじょ)の笑顔
今日も淡い想いに封をする