金木犀

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1/18/2025, 1:38:28 PM

 手のひらの宇宙

 小説家になりたかった。
 才能、努力、他には何だろう。夢を叶えるには、私は何もかも足りなかった。あるいは、初めから何も持っていなかった。
 まるで知らない誰かの夢を追いかけるような、そんな日々。本当にやりたかったことから目を背けて、遠ざけて、意味なんて求めるだけ無駄だと言い聞かせた。そうしていつの間にか忘れてしまった。
 手のひらの宇宙の広さを。

1/16/2025, 11:43:56 PM

 透明な涙

1/16/2025, 12:06:50 AM

 あなたのもとへ

 この学校に伝わるおまじない。図書室のとある本に手紙を挟んで棚に戻すと、相手がどこにいても必ず届く。ルールはひとつ。自分の名前も相手の名前も手紙には書いてはいけない。
 もちろん誰も信じる人はいない。そもそも「とある本」というのがどの本なのかもわからない。七不思議的に語られる馬鹿馬鹿しい噂だった。
 だから、こんな噂に縋る私もきっと馬鹿だ。だけどそれでもいいと私は「とある本」を探した。
 そして、見つけた。
『あなたのもとへ』
 きっとこの本だ。
 拝啓、遠くへいった君へ。
 手紙を挟んで本棚にそっと戻す。
 ふと我に帰ってその本をもう一度開くと、手紙は消えていた。

1/14/2025, 2:50:32 PM

 そっと

1/10/2025, 3:26:31 PM

 未来への鍵

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