大好き
大好きだよ。そう言い、ほんのり甘いキスを。
私は、彼が大好きだった。付き合ってまだ一年未満。それでも、二人の愛は本物だと言えるほど。
身体を重ね、やがて結婚にまで及ぶ二人の関係。
私の中にある、彼が大好きな感情は変わらない。
「ずっと一緒にいてね」
そう囁いて、お互いに愛情を注ぎ合う。永遠を共にすることだって約束した。
しかし、その言葉とは裏腹に、
やがて終わりを迎える二人のワルツ。
永遠なんざ、共には出来ない。
彼が永遠を共にしようと、ありもしない現実を言い、甘い嘘をついたとしても。
それでも、私はずっと彼が大好き。
叶わぬ夢
二度と叶わない。
彼が帰ってきて下さい。なんて。
彼は病気で死んだ。最後はぎゅっと私の手を握りながら、息を引き取った。最後まで死にそうなことを、私に言わないまま。
「大丈夫、大丈夫。」
そういい、確信のない生存を伝えながら、最後を見送った私は、後悔しかない。
きっと、もうダメだと言うことを、私に一言でも伝えたかったのかもしれない。
きっと、ありもしない希望を言われて嫌だったに決まってる。
今更、言いたいことなんてないのに。
___彼が帰って来ますよう。
花の香りと共に
これは、恋人からもらった花。
手に収まっているのは、真っ赤に染まった薔薇。
これは、職場の人から頂いた花。
手に収まっているのは、ディモルフォセカ。
どれも素敵な花言葉がある。しかし、世の中には、とても闇深い花言葉を持つ、花も存在する。
私の正体は、花農家。
毎日、花の香りと共に生きていく。
心のざわめき
一人の大切な彼氏。
私は、毎日彼のお見舞いに赴く。
しかし、ここ一ヶ月意識を戻さない彼に、毎日花束を置いて、聞こえないことはわかっていても、話しかけた。
しかし、ある日。
意識のない彼が、突然私の右手を掴んだ。私に、どこにも行かないでと言わんばかりに。やがて、帰らなくてはならない私は、その手を離して帰宅した。しかし、帰宅してから感じた。
いつもには無い、何か変な感覚。
なんだろう、この心のざわめきは。。
君を探して
お願い、見つかってくれ、!
何度願ったか分からない。僕と恋人にまで関係が発展した彼女は東日本大震災で津波に飲まれ、行方不明になった。
自分が、彼女を諦めることは出来ない。
だから毎日探していた。何ヶ月経っても。ずっと
しかし、世界は残酷だ。
「彼女さんは、見つかりませんでした」
自衛隊に言われた一言に、悔しさを覚えた。
3/11の前日まで、キスをして、身体を重ねた日々
忘れることは出来ないのだ。
「どうか、まだ、お願いします」
「彼女を、、彼女を、、!」