「イブの夜」
なかなか寝ない子供達を寝かして、そろりそろり、小さなツリーの足元にプレゼントを置いてたのは数年前まで。
ツリーは今年も飾って、食事も買ってきたものだけど皆んな揃って食べて、平和なイブの夜。
「プレゼント」
わたしは残りの人生は神様がくれたプレゼントだと思ってる。
一番近くにいて、一番私のことを理解し、大切にしてくれている人を脳の病気によって、
めちゃくちゃに傷つけてしまったから。
潔く去るのが一番いいのは分かってる。
でも、私はそれはしたくない。
私のわがままだ。
私がつけた傷は、私が手当して完全に治したいのだ。
身勝手でわがままなのは分かっている。
でも、他に選択肢はないから、神様がくれたプレゼントである、私の残りの人生、
私は、私が傷つけてしまった人達のために精一杯生きたい。
「ゆずの香り」
わたしは匂いに敏感だ。
産後は特に敏感になりすぎて、香水がつけられないほどに。
香水の正しい付け方を教えてくれた人がいた。
バイクの後ろにも乗せてもらった。湖を一周した。
私の青春である。
彼が上京するという日、会うのが最後になると思ったわたしは、電車に飛び乗り、会いに行った。
焼き鳥食べて、少しお酒を飲んだ。先に社会人になってたわたしはご馳走した。
とてもいい思い出である。
仕事でしんどくなってきた時、わたしは彼に電話した。
「嫌ならやめたら?」彼は言った。
私は勢いづいちゃって、仕事を辞めて、転職した。
それから、職を転々としたけれど、相変わらずストレスの消化の仕方のわからない私は、アロマオイルの匂いに引き寄せられて、あるお店に入った。
そこで、店員さんが、柚子の香りのする蜂蜜入りのあったかい飲み物を試飲させてくれた。
私の中で張り詰めてたものが解れた。それ以来、香水から、ハーブやアロマにシフトし、コットンにその日の気分で選んだアロマオイルを垂らして部屋に置いたりして、ぐっすり眠れるようになった。
「柚子の香り」はお吸い物に入っててもとても風味がよい。
お義母さんは毎年お正月には柚子をくり抜いて、なますを中に入れてイクラを飾って出してくれる。
そろそろ世代交代する歳頃になってきた。私にはきっとそんな手の込んだことはできないけれど、
購入したおせちと、少しの手作りで、皆が健康で新年を迎えられるようにしたいと思う。
「ベルの音」
チリンチリン、
これが僕がきた合図だよ。
祖父は恋人に会いたくて道路から2階の部屋にいる恋人に知らせていたらしい。
旧家の出身の祖父には恋愛結婚なんて認められなかったらしいが、その人と結婚したらしい。
相当惹かれあってたんだね。
だけど、戦争が原因で二人は離婚させられ、
祖父は私の祖母と再婚した。
お見合いだったらしいけれど、
写真の中に一枚、
祖父が後ろから祖母を抱きしめていて、二人とも何か楽しいかったのであろう、ニコニコ笑ってる写真を見つけた。
愛し合ってたんだと思う。
祖母が重い病気になっても、ずっと祖父は支えてた。
頑丈だった祖父の方が先に亡くなった訳だけど、死ぬ間際に
「あいつを残しては死ねん。。」
と言っていたそうだ。
私も、もし貴方より先に逝くことがあったら、
「貴方を残しては先に逝けない」って言うのかな…
「寂しさ」
私は認めたくなかった。
寂しい人間なのである。
小中から続いてる友達はゼロ
高校も一人しかも年に一度連絡するくらい
大学も同じく
大学院で一人だけ友達が続いてる
寂しい人間である
過干渉の過保護に育てられたから、
あなたは寂しくないでしょ?
を押し付けられてきたけど、
本当はすごく寂しがりやで、
なんなら、寝てるときも、夫にくっついてる。
寂しいのである。
夫も同じく寂しがりやだから、ちょうど良かった。
寂しいもの同士、これからもずっとずっと生きていきたい。