しろ

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「ゆずの香り」

わたしは匂いに敏感だ。
産後は特に敏感になりすぎて、香水がつけられないほどに。

香水の正しい付け方を教えてくれた人がいた。
バイクの後ろにも乗せてもらった。湖を一周した。
私の青春である。

彼が上京するという日、会うのが最後になると思ったわたしは、電車に飛び乗り、会いに行った。
焼き鳥食べて、少しお酒を飲んだ。先に社会人になってたわたしはご馳走した。
とてもいい思い出である。

仕事でしんどくなってきた時、わたしは彼に電話した。
「嫌ならやめたら?」彼は言った。
私は勢いづいちゃって、仕事を辞めて、転職した。

それから、職を転々としたけれど、相変わらずストレスの消化の仕方のわからない私は、アロマオイルの匂いに引き寄せられて、あるお店に入った。

そこで、店員さんが、柚子の香りのする蜂蜜入りのあったかい飲み物を試飲させてくれた。

私の中で張り詰めてたものが解れた。それ以来、香水から、ハーブやアロマにシフトし、コットンにその日の気分で選んだアロマオイルを垂らして部屋に置いたりして、ぐっすり眠れるようになった。

「柚子の香り」はお吸い物に入っててもとても風味がよい。

お義母さんは毎年お正月には柚子をくり抜いて、なますを中に入れてイクラを飾って出してくれる。

そろそろ世代交代する歳頃になってきた。私にはきっとそんな手の込んだことはできないけれど、
購入したおせちと、少しの手作りで、皆が健康で新年を迎えられるようにしたいと思う。

12/22/2024, 10:17:06 AM