やさしくしないで
「何よ!馴れ馴れしくやさしくしないでよ!」と彼女がキッと眉を釣り上げる
僕は、それに対して「はい はい」と
軽く流す。
一緒に日直をする事になった
女子 小山内 静(おさない・しずか)
名前とは、正反対の強気で意地っ張りで
負けず嫌いな少女だ。
僕と彼女は、隣の席なので一緒に
職員室から次の授業の教材や資料を
クラスの教室に運んでいた。
席替えをしない限り僕と彼女は、ずっと
日直のペアなのでこのやりとりも毎回の
事だ 最初は、彼女の態度にムッとして
腹を立ててた僕だけれど 彼女は、
変に負けず嫌いなだけで他意は無くこの
態度は、通常運転なのだと分かってからは、こうやって軽く流す事を覚えた。
「この位 私一人で持てるのに~」
と彼女は、悔しそうに地団太を踏む
「でも一人で持つと高く積みあがって
安定感が無いよ こうやって二人で
半分ずつ持てば進行方向も塞がないし
安定感もあるし 一石二鳥でしょ」と僕が
ナイスアイデアみたいに言うと
彼女は、はたと動きが止まって
「その位 私だって気が付いてたし
自分の手柄みたいに言わないで!」
「はい はい それはそれは出しゃばりましてどうもすみませんでした」と僕が素直に謝ると彼女は、フンと鼻を鳴らし
不機嫌な顔で「でも先に持とうとしたのは
私だからね」なんて率先して自分が先に
荷物を持った事を殊更 強調して来る
こんなやり取りが教室に着くまで
続いた
僕は、まさか小山内さんの意固地な
意地っ張りが教室に着くまで続くとは
思わずなんだかそんな小山内さんの態度に
顔には、出さず心の中で爆笑していた。
僕は、暫く席替えが無ければ良いのにと
思っていた。....
隠された手紙
あの人が 定位置としていつも座っていた
書斎の机の引き出しに隠されていた手紙
封筒の封を開けると そこには、不器用な
文字で書かれた私宛てのラブレターが
綴られてあった。
頑固者で意固地で私の言う事なんか
一つも聞いてくれた試しが無いあの人
そんなあの人が私に向けて柄にも無く
愛の言葉を囁いているその手紙は、
最初は、別人の様で信じられなかったが
長年連れ添った私には、あの人の言葉だと
言う事が頷けた。
「全く こう言う事は、生きている間に
言って下さいよ!」
私は、苦笑し 仏壇の写真の中で仏頂面を
携える あの人の遺影をやれやれと
見つめたのだった.....。
バイバイ
夕日に赤く染まった空 分かれ道に差し掛かり 君は、右に 私は、左に
君が「じゃあね また明日 バイバイ」と
手を振る。
私も同じ様に「バイバイ」と手を振り返す
また明日も学校で....
私達にとってのバイバイの挨拶は、
また明日 変わらず会う為の約束の言葉
また明日も元気で会うための再会の
挨拶なんだ!
旅の途中
『すごろく旅』と言う旅番組の企画で
関東圏辺りを旅する事になった
某芸能人の青年サイコロの出た目の数の
バス停まで行きそこで美味しいグルメや
観光スポットを探すと言う物だ
旅の途中暖かい地元の人の気遣いや優しさに触れ ゴールまであと少しと言う所で
天候が崩れ心が挫け掛けた時
地域の人の優しさを思い出し 何とか
ゴールに成功した。
ゴールに着いたら 思わず某青年は、
暖かい涙が零れたと言う....
そんな旅の途中のお話しでした。
まだ知らない君
まだ知らない君へ
これから出会う君へ
僕達 皆で君を歓迎するよ
だから どうか無事に生まれておいで
待ってるよ!
まだ知らない君を待つ者より~