やさしくしないで
「何よ!馴れ馴れしくやさしくしないでよ!」と彼女がキッと眉を釣り上げる
僕は、それに対して「はい はい」と
軽く流す。
一緒に日直をする事になった
女子 小山内 静(おさない・しずか)
名前とは、正反対の強気で意地っ張りで
負けず嫌いな少女だ。
僕と彼女は、隣の席なので一緒に
職員室から次の授業の教材や資料を
クラスの教室に運んでいた。
席替えをしない限り僕と彼女は、ずっと
日直のペアなのでこのやりとりも毎回の
事だ 最初は、彼女の態度にムッとして
腹を立ててた僕だけれど 彼女は、
変に負けず嫌いなだけで他意は無くこの
態度は、通常運転なのだと分かってからは、こうやって軽く流す事を覚えた。
「この位 私一人で持てるのに~」
と彼女は、悔しそうに地団太を踏む
「でも一人で持つと高く積みあがって
安定感が無いよ こうやって二人で
半分ずつ持てば進行方向も塞がないし
安定感もあるし 一石二鳥でしょ」と僕が
ナイスアイデアみたいに言うと
彼女は、はたと動きが止まって
「その位 私だって気が付いてたし
自分の手柄みたいに言わないで!」
「はい はい それはそれは出しゃばりましてどうもすみませんでした」と僕が素直に謝ると彼女は、フンと鼻を鳴らし
不機嫌な顔で「でも先に持とうとしたのは
私だからね」なんて率先して自分が先に
荷物を持った事を殊更 強調して来る
こんなやり取りが教室に着くまで
続いた
僕は、まさか小山内さんの意固地な
意地っ張りが教室に着くまで続くとは
思わずなんだかそんな小山内さんの態度に
顔には、出さず心の中で爆笑していた。
僕は、暫く席替えが無ければ良いのにと
思っていた。....
2/3/2025, 11:26:20 AM