衣替え
今年の衣替えは、まだしてない
秋のはずなのに夏日と言われまだ半袖を
しまえないでいる。
かと言って夜は、急激に寒くなり
長袖も少しずつボックスから出し始めて
いるが本格的な衣替えは、まだ手を付けられずにいる....。
声が枯れるまで
ある男子高校生達の日常会話
「いやあ~盛り上がった 盛り上がった」
「どぉいにづゅうい~だった」
【訳】大いに有意義だった
「お前声が枯れ過ぎて何言ってんのか
良く分かんねぇんだけど....」
「をんあひなずっへもぉ~ふぃあひ~」
【訳】こんなになっても悔い無し
「お前カラオケで歌いまくって声枯らすって....馬鹿だなあ....」
「あんどへもひえっ」
【訳】なんとでも言え
以上カラオケで歌いまくって盛り上がった
男子高校生達の帰り道でした。
始まりはいつも
始まりはいつもカランと鳴る鐘の音その
ドアを静かに叩く鐘の音を合図に
そのお客様は毎日午前中の九時ぴったりに
カウンター席から少し離れたちょうど真上に時計がある四人席の壁際のソファー席に
座りコーヒーを何故か最初ブラックで
頼むのに後から机脇に置いてある砂糖を
つぎ足す
最初から砂糖を入れたコーヒーも
出来ますと勧めるけれどそのお客様は必ず
最初にブラックコーヒーを頼む
そうして自分で砂糖を入れる。
その数は、必ず四杯
どうやらこのお客様の中で物事を進める
数字と言うのが決まっているらしい
コーヒーが来たら必ずそのお客様は
読書をする。
必ず10ページ読んだら栞を挟み
そしてソーサからコーヒーカップを
持ち上げ揺らしながらコーヒーの香りを
楽しみそれをじっくりと堪能した後
20分掛けて一杯のコーヒーを飲みきり
そうして正午頃 そのお客様は席を立ち
そうして必ず皺の無い新札のお札で会計を
支払うのだ。
そうして穏やかな笑みを浮かべ
店員に朗らかに「ご馳走様」と挨拶をし
紳士然りとした姿勢でまたドアベルを
カランと鳴らし去って行く
そうしてまた今日も午前九時
カランと軽やかに響くベルが鳴り
紳士然りとした風貌で時計の真下の席に着くそのお客様の決まったルーティンがこの
店のいつも通りの始まりなのだ。
すれ違い
もう2時間も待ち合わせ場所である
オブジェの前で待っている。
電話を掛けても繋がらない
彼女に何かあったのだろうか....
もう2時間も待ち合わせ場所で待ってるのに
彼が来ない 電話を掛けても話し中で
繋がらない もう私とのデートの日に
一体誰と話してるのよ!!
女友達とかだったら許さないからと
私は、頬を膨らませもう一度彼に電話を
掛ける。
僕は、彼女が心配でもう一度電話を掛ける
(やっぱり繋がらない....)
私は、僕は、ため息を吐く
この時 彼と彼女は、同じ所に居た
正確には、振り返れば すぐ側に....
オブジェの右側と左側
オブジェの前と後ろ
全く同じタイミングで電話を掛ける
気の合うカップル
気が合い過ぎて 何の神様の悪戯か
さっきからお互いがお互いに全く同じ
タイミングで電話を掛けているせいで
ずっと話し中のアナウンスが鳴り止まないのだ....
お二人さん あともうちょっとだよ!
ほら 電話にばかり気を取られてないで
お互い後ろを振り返って!!
気が合い過ぎて 中々出会えず
すれ違ってばかり居る残念なカップル
二人が出会えたのは、この30分後だったと言う....
ある意味 仲が良すぎるカップルだった...。
秋晴れ
暑さも和らぎ 涼しい風と共に
空も青く澄んでいる。
こんな日は、洗濯物もよく乾く
外出するのにも良い気候だろう
私は、窓辺のベランダにある
ロッキングチェアーに座り読みかけの
小説を開く
散歩道を通った時にはらりと落ちた
綺麗な色の落ち葉を何の気なしに
栞にしてみた。
黄色と緑のコントラストが鮮やかに
目に焼き付いていつまでも見ていたいと
思ったから....
私は、その栞が挟んであるページを
開いて小説の続きを読み始める
ラミネート加工されて鮮やかな色を
いつまでも主張する木の葉にページを
教えられ私は、物語の世界に没入
し始めた。
鮮やかな物語の景色が私の思考を
埋め尽くすまで いつまでも いつまでも
ページを捲り続けた。.....