鳥かご
ペットショップで、インコを二匹買った。
鳥かごを覗いたら、ピーチクパーチク
お話ししているみたいだった。
インコの秘密のおしゃべりが鳥かごの中で
繰り広げられている。
そんな二匹を観察して、私は、顔を
綻ばせた。
友情
友情とは、一体何なのか?
相手が困っている時に手を差し伸べるのが
友情なのか?
はたまた相手の為を思ってあえて厳しく
接するのが真の友情なのか?
俺の席の前で授業中 堂々と寝ていた友人に 「ノート見せて!」と当たり前の
様に手を俺の前に広げ ノートを催促する
友人の手に馬鹿正直にノートを置くか
『自業自得だろう!』とその手を振り払い
獅子の子を千尋の谷に突き落とすが如く
突っぱねるか 二択で悩み 俺の頭の中の
思考回路は、数秒止まった。
今一番欲しいもの(番外編)⑬の続き
花咲いて(番外編)⑭
●シズクちゃん
(星空の国のシズクちゃん)の続き
【灰色猫の憂鬱】
小さいお家にシズクちゃんは、
灰色猫さんと一緒に住んでいました。
「猫さん!...猫さん!...お花摘んで来たよ!」
シズクちゃんは、灰色猫さんにお花を
差し出します。
「ああ....」灰色猫さんは、頬杖を突きながらその花を受け取ります。
そうして、心の中で、何度もこう思います
(何でこんな事になった....)
始まりは、泣いている少女をうるさく感じ
自分の所から退かしたくて、他の道に
案内しただけなのに....
それから何だかんだ危なっかしい
少女を湖から落ちそうになったのを
思わず助けてしまってから
何故か一緒に住む事になり
何処へ行くにも一緒に付いて行く事になり
それに何だか....
灰色猫は、チラリとシズクちゃんの
方を見ます。
シズクちゃんは、嬉しそうに摘んで来た
花を花瓶に挿して....
「猫さん 見て...見て...」と灰色猫さんに
呼び掛けます。
灰色猫さんは、それに「ああ...」と答え
(何か懐かれた....)灰色猫は、思考を
回し特に懐かれる様な事は、していないのに何でだろう....と考えます。
早々に出て行こうとシズクちゃんに
「じゃあな!」と声を掛けた瞬間
「行っちゃうの....」とシズクちゃんは
悄然とした表情になり瞳をうるうると
潤ませます。
それを見て灰色猫は、「うっ....」となり
罪悪感を感じてしまい....
「まぁ....お前が良いならもう少しだけ
居てやっても良いけど....」とそんな事を
灰色猫が言うとシズクちゃんは、
「うん!」と頷き花が咲いた様な笑顔を
浮かべるのです。
そして、ずるずると何だかんだで
一ヶ月シズクちゃんと一緒に住んでいる
灰色猫(誰かと一緒に居るって俺の性に
合わないんだけど....)基本 灰色猫は、
野良猫生活を信条にしています。
その方が自分に合っているからです。
でも....灰色猫は、またシズクちゃんに
視線を転じます。
シズクちゃんは、ご飯を作ろうと
キッチンの棚の上の調味料の小瓶を取ろうとしていますが踏み台がふらふらと揺れ
今にも倒れそうです。
灰色猫は、急いで駆け寄り踏み台を押さえ
ます。
シズクちゃんは、バランスを取り戻し
「猫さん....ありがとう」とお礼を
言いました。
(どうにも...こいつ危なっかしいんだよなあ....)一人で住まわせて置くには、
些か頼り無く心許ない自分が気まぐれとは言え助けた命だ。
此処で何かあって死なれたりしたら
後味が悪い....
灰色猫は、はぁ~とため息を付き
「ハイネだ....」ぼそりと言います。
「ハイネ??」シズクちゃんは、
キョトンと首を傾げます。
「俺の名前だ 一緒に住んでるんだから
名前位 覚えろ!」
シズクちゃんは、それを聞いてぱあっと
顔を輝かせます。
「うん....分かった....宜しくね...ハイネ...」
ハイネに向かってシズクちゃんは、
また花が咲いた様な笑顔を浮かべます。
灰色猫は、心の中でため息を付きました。
本当は、灰色猫に名前なんかありません
名前だって今 自分で付けたのですから
灰色猫だから略してハイネなんて名前を
速攻で考えたのですから
野良猫生活が長かった灰色猫には
名前なんて必要ありませんでした。
けれど.... (何やってんだろう俺....
まさか自分から名前を付けて名乗る事に
なるなんて思いもしなかった....)
こうして灰色猫もといハイネは名前を
シズクちゃんに名乗った事でシズクちゃんの飼い猫になったのでした。
これから二人には、どんな出来事が待っているのでしょう....
それは、またの機会に....
とりあえず今日は、ここまで....
さようなら!!
もしもタイムマシンがあったなら
西暦○○××年
タイムマシンが、開発され 現代人が
乗り回すのが当たり前になった時代
そんな時代の世界は、全盛期の見る影も
無く荒廃していた。
未来が知る事が出来る様になった現代人に
向上心は、無くなり
過去をやり直せる様になった現代人は
後悔と罪悪感を無くし見事な無法地帯の
出来上がりだ。
犯罪が横行し 取り締まる警察側も
未来や過去に逃げ込む犯罪者達に命を
握られ死に怯える様になった。
最早、警察と言うより人質に近い
タイムマシンが開発された当初人々は
湧き立ち人類の夢の実現に歓喜したのも
今や昔.....
すっかり堕落し見る影も無い私達人間
未来に絶望し過去に満足し私達は、
疲弊して行く
これじゃあダメだと私達一握りの無駄な
向上心がある人類は、立ち上がった。
最後の足掻きとして、全ての元凶である
タイムマシンに乗りタイムマシン開発を
阻止する事にする。
その結果たとえ自分達が元の時代に帰れなくなったとしても 今の荒廃して行く
世界を野放しにしたら これから産まれて
来る世代の子供達に何も誇れない
それに、過去は、タイムマシンが無ければ
変えられ無いけど....未来は、これからの
私達の行動で変えて行く事が出来る。
こんな堕落した現在に満足していたら
たとえ未来が見れるタイムマシンが
あったってちっとも楽しく無い
過去は、糧にし 未来は、希望に溢れて
いなければいけない でなければ
私達は、生きられない
辛い事 悲しい事 もう二度と味わいたく無い事 全ては、経験だ。
その経験があったからこそ今の自分に
自信が付き大切に出来るんだ
二度と味わいたく無い過去があるから
人は、悲しみを知り痛みを知り人に優しく
出来るんだ。
それを捨てちゃ行けない
失っちゃ行けない
さあ乗り込もう そして取り戻そう
何も知らなかった真っさらな未来
辛酸を舐めた苦い過去
それらをこの手に摑む為私達は、
タイムマシンに乗り込み
タイムマシンを終わらせる旅に出た。
視線の先には(番外編)⑫の続き
今一番欲しいもの(番外編)⑬
●バレンタインデー
某○月×日
今日は、女子は、ワクワク
男子は、ソワソワする日
此処にも一人ソワソワと落ち着かない
少年がいた。
「ハイネ、落ち着きなよ! そんなに
ソワソワしなくても 毎年シズク
ハイネにくれるじゃない」とナイトが
ハイネを落ち着かせる様に声を掛ける。
「はぁ 何が 別に....あいつが誰に
あげようと俺には、関係ないし....」
「そう じゃあ今年は、女子寮の皆で
作るらしいから、僕たちあぶれるかも
しれないね! まぁ僕は、家に帰ってから
ミーナから貰うから別に良いんだけど...」
ナイトの言葉にハイネの肩がびくりと
上がる。
「べっ別に.... それならそれで 別に...」
と だんだんとハイネの言葉が尻すぼみに
なる。
そんなハイネの様子を見て、ナイトは
くすくすと笑う。
一方 女子達は....「ミーナは、ナイト君に
もう準備してるんだよね!」
「そうね! 家に帰ってから渡そうと
思って これは、自分用と友達用
シズクにもあげるからね!」
とミーナがにっこりとシズクに言う
「うん...ありがとう....私もミーナに
あげるね....ナイトにも 後ハロルド局長と
マリアさんにも....」
「あら ありがとうシズクちゃん」
「私も局長とマリアさんにあげたいです」
「ありがとうミーナちゃん」
「ミーナとシズクちゃんのチームは、
本当に仲良いね! シズクちゃんは今作ってるチョコ誰にあげるの?」女子寮の女子に
そう質問されシズクは....
「ハイネにあげるよ!!....」とシズクは、
にっこりと答える。
「そうなんだ 私 ハイネ君とは、
喋った事ないんだよね....どんな感じの人?」
「....どんな??」シズクは、ハイネの顔を思い浮かべる。
吊り上がった目 ぶっきらぼうな言葉
自分に意地悪した時の嬉しそうな顔
「.... 意地悪....厳しい....でも....優しいよ....」シズクはハイネについて自分の思っている事を素直に告げる。
そのシズクの笑顔を見た声を掛けた女子は
そっとミーナに耳打ちする。
「ねぇミーナ シズクちゃんって....その
ハイネって人の事どう思ってるの?」
その耳打ちにミーナも耳打ちで返し
「それは....ちょっと謎なのよ....
ハイネったらシズクにばっか意地悪するからシズクもハイネに意地悪された時は
泣きながら嫌いって言うんだけど....
次の日には、忘れた様に普通に喋ってるから嫌っては無いと思うんだけど....
恋愛感情かって聞かれると....
シズクもハイネの事は仲間とは、
思ってるんだけどそれ以上の事となると
ちょっと分からないわね
シズク自分の事には、鈍いし....
ハイネも意地っぱりだから....」
「なるほどね!」とミーナとその女子の
耳打ちの会話は、シズクには、
聞こえ無かった。
そうしてついにチョコレートが完成し
綺麗にラッピングしてハイネに渡しに行く
シズク ミーナも義理チョコとして
ハイネに渡しに行く
「ハイネ!!」と まずミーナがハイネに
声を掛ける。
「あ...何だよ!」「これ....義理チョコ...」
とミーナがハイネに小さい箱を渡す。
「ああ」とハイネ普通に受け取る。
しかし受け取り方が気にくわないミーナ
「ああって何よ!」とミーナが眉を吊り上げるのでハイネは、小さく「ありがとう」と答える。
次にシズクの姿が見えるとハイネ肩をびくんと震わせる。
「ハイネ....はい....」シズクにっこりと笑顔でハイネにチョコを渡す。
「っ・・・・」ハイネ言葉が固まり
手が震える。
シズクに何も言えずお礼すら返せない
ハイネ
そんなハイネの態度も気にせずシズク
はナイトやハロルドマリアミーナにも
チョコを渡す。
そうして皆にお礼を言われ皆の笑顔が見られシズクは、暖かな気持ちになる。
(良かった皆に渡せた....)
皆が嬉しそうにチョコを頬張る光景が
見れて嬉しいシズク
しかしふと視線を転じるとハイネだけ
まだシズクがあげたチョコを食べていなかった。
ハイネの顔を見ると真っ赤に紅潮していた。
シズクは、その顔を見てハッとなる。
(もしかして....チョコを食べ過ぎて
具合が悪いのかなあ....)
シズクは、ハイネやナイトが他のチームの
女子達からもチョコを渡されていたのを
思い出した。
シズクは、ハイネの側に行きハイネに声を
掛ける。
「ハイネ大丈夫?...具合悪いなら...
チョコ残して良いよ....」
「はぁ~!別に具合悪くネェよ!
唯....食べるのが勿体ないと思っただけだよ」
「そうなんだ....」(ハイネ凄くチョコ好き
なのかなあ....)
(だって....シズクが俺の為に毎年チョコ
作ってラッピングだって毎年違う物考えて
くれて....それを思うと勿体なくて....
写真撮って...家に帰ってゆっくり食べよう)
ハイネはシズクのチョコを溶けない様に保冷バッグに入れて宝物を扱う様に潰れ無い様にそっとバッグにしまった。
こうして今年もシズクから一番欲しいものを貰えて大満足のハイネなのだった。