今一番欲しいもの(番外編)⑬の続き
花咲いて(番外編)⑭
●シズクちゃん
(星空の国のシズクちゃん)の続き
【灰色猫の憂鬱】
小さいお家にシズクちゃんは、
灰色猫さんと一緒に住んでいました。
「猫さん!...猫さん!...お花摘んで来たよ!」
シズクちゃんは、灰色猫さんにお花を
差し出します。
「ああ....」灰色猫さんは、頬杖を突きながらその花を受け取ります。
そうして、心の中で、何度もこう思います
(何でこんな事になった....)
始まりは、泣いている少女をうるさく感じ
自分の所から退かしたくて、他の道に
案内しただけなのに....
それから何だかんだ危なっかしい
少女を湖から落ちそうになったのを
思わず助けてしまってから
何故か一緒に住む事になり
何処へ行くにも一緒に付いて行く事になり
それに何だか....
灰色猫は、チラリとシズクちゃんの
方を見ます。
シズクちゃんは、嬉しそうに摘んで来た
花を花瓶に挿して....
「猫さん 見て...見て...」と灰色猫さんに
呼び掛けます。
灰色猫さんは、それに「ああ...」と答え
(何か懐かれた....)灰色猫は、思考を
回し特に懐かれる様な事は、していないのに何でだろう....と考えます。
早々に出て行こうとシズクちゃんに
「じゃあな!」と声を掛けた瞬間
「行っちゃうの....」とシズクちゃんは
悄然とした表情になり瞳をうるうると
潤ませます。
それを見て灰色猫は、「うっ....」となり
罪悪感を感じてしまい....
「まぁ....お前が良いならもう少しだけ
居てやっても良いけど....」とそんな事を
灰色猫が言うとシズクちゃんは、
「うん!」と頷き花が咲いた様な笑顔を
浮かべるのです。
そして、ずるずると何だかんだで
一ヶ月シズクちゃんと一緒に住んでいる
灰色猫(誰かと一緒に居るって俺の性に
合わないんだけど....)基本 灰色猫は、
野良猫生活を信条にしています。
その方が自分に合っているからです。
でも....灰色猫は、またシズクちゃんに
視線を転じます。
シズクちゃんは、ご飯を作ろうと
キッチンの棚の上の調味料の小瓶を取ろうとしていますが踏み台がふらふらと揺れ
今にも倒れそうです。
灰色猫は、急いで駆け寄り踏み台を押さえ
ます。
シズクちゃんは、バランスを取り戻し
「猫さん....ありがとう」とお礼を
言いました。
(どうにも...こいつ危なっかしいんだよなあ....)一人で住まわせて置くには、
些か頼り無く心許ない自分が気まぐれとは言え助けた命だ。
此処で何かあって死なれたりしたら
後味が悪い....
灰色猫は、はぁ~とため息を付き
「ハイネだ....」ぼそりと言います。
「ハイネ??」シズクちゃんは、
キョトンと首を傾げます。
「俺の名前だ 一緒に住んでるんだから
名前位 覚えろ!」
シズクちゃんは、それを聞いてぱあっと
顔を輝かせます。
「うん....分かった....宜しくね...ハイネ...」
ハイネに向かってシズクちゃんは、
また花が咲いた様な笑顔を浮かべます。
灰色猫は、心の中でため息を付きました。
本当は、灰色猫に名前なんかありません
名前だって今 自分で付けたのですから
灰色猫だから略してハイネなんて名前を
速攻で考えたのですから
野良猫生活が長かった灰色猫には
名前なんて必要ありませんでした。
けれど.... (何やってんだろう俺....
まさか自分から名前を付けて名乗る事に
なるなんて思いもしなかった....)
こうして灰色猫もといハイネは名前を
シズクちゃんに名乗った事でシズクちゃんの飼い猫になったのでした。
これから二人には、どんな出来事が待っているのでしょう....
それは、またの機会に....
とりあえず今日は、ここまで....
さようなら!!
7/23/2024, 11:57:39 AM