夏(番外編)の続き
赤い糸(番外編)②
●運命の赤い糸
ガキの頃俺の小指にお袋が赤い糸を巻いた。
『母さんこれ何?』子供の俺は首を
傾げてお袋に尋ねた。
『ふふっ これは、運命の赤い糸です
はー君の運命の人がわかっちゃうのです』
お袋は、楽しそうに笑って
『どんな子かしら? はー君の運命の人は』なんて言っていた。
『? ?』ガキだった俺は、お袋の
言っている意味が良く分からなかった。
夢から覚めたハイネは、周りを見回す。
(何だ.... 何か夢を見てた気がするが...)
目を擦り 欠伸をかみ殺して起き上がると
声が聞こえた。
「シズク何色の糸が良い?」ミーナが
シズクに問いかける。
「う~ん....赤!....」とシズクが嬉しそうに
糸を選ぶ
(何やってんだ あいつら....)
ナイトが寝起きのハイネに補足する様に
説明する。
「何かミサンガを作ってるんだって!」
(ミサンガだぁ....) ハイネは、そんな物に
丸っきり興味が無かったが何となく
立ち上がって様子を見守る。
シズクが嬉しそうに赤い糸を一生懸命結んで編んでミサンガを作って居た。
「このミサンガに願いを掛けて付けると
解けた頃には、願いが叶ってるんだって」
とミーナがシズクに説明する。
「願い....叶う....」シズクがきらきらした
瞳でミサンガを見つめる。
(下らねェこんなんで願いが叶うわけ
ねェだろう 女ってこう言うの好きだよなあ....)
そして そうこうしている内に
「できた....」とシズクが呟く。
そうして赤いミサンガを皆に見せる。
「あら上手よ!シズク」
「良く出来たね!」とミーナとナイトが
褒めてくれた。
シズクは嬉しくなって早速付けようと
したのだが....
ひょいっとハイネに後ろから取られてしまう。
「あ....」シズクが小さく声を出す。
「....返し....て....」シズクが背伸びをして
ハイネに手を伸ばすがハイネは返してくれない シズクの手を避けてまじまじと
ミサンガを見つめる。
「ハイネ~....」シズクが泣き出しそうに
ハイネを見つめる。
「ハイネ シズクに返して上げなさい!」とミーナがハイネを怒るが.....
ハイネは....「赤か....」と呟き....
泣き出しそうなシズクの腕に黙ってミサンガを付けた。
「? ?」シズクは、ハイネの行動に
首を傾げる。
「....ハイネ....」シズクはハイネに
呼び掛けるが ハイネは、そのまま黙って
行ってしまう。
ハイネが背を向けて部屋に行ってしまうと
シズクの中に疑問符だけが残った。
そうして一人で部屋に入ったハイネは....
『どんな子かしら?はー君の運命の人は』
夢の中の余韻が蘇った。
ハイネの顔が自分でも分かる程 熱くなっていた。
ハイネは、床に蹲り膝に顔を埋めて
心の中で呟く
願わくば 運命の赤い糸が君に繋がって
います様にそう心の中で願って....。
入道雲
もくもくと青空を覆う入道雲
空にたなびいて 筋を作ったり
綿菓子みたいにふわふわと浮かんでる。
あの雲をベッドにして眠ったら
深い眠りに付けるのになあと思いながら
芝生の上に寝転んで居た。
そうしていつの間にか暖かい日差しを
子守唄代わりにして眠って居た。
夢の中でもふわふわの入道雲をベッドにして眠りに付いていた。
やったあ!夢が叶ったと夢の中の自分が
寝言で呟いて居た。
繊細な花の続き
夏(番外編) 時間を戻した番外編
● シズクの仕返し
○月×日
今日も今日とてハイネに苛められるシズク
一番多い意地悪が髪の毛を引っ張られる
事だった。
「っうわああ~んっ」今日も大泣きに
泣いてハイネに笑われるシズク
後でナイトとミーナがハイネを怒って
くれるが今日もハイネにやられっ放しの
シズク
そこでシズクは考えた そうだ自分も
ハイネに意地悪をしよう!
しかし良いアイディアだと思ったが
シズクの思考はそこで止まりはたと
首を傾げる。
(意地悪って何をすれば良いんだろう?....)
う~ん う~んと唸りシズクは首を捻って
考える。
ハイネの真似をしようとシズクは考える。
まずは髪の毛を引っ張るとシズクは
想像するが途中でハイネの痛がる顔が
浮かびシズクは首を振る
(痛いの駄目....ハイネ怪我する....可哀想)
と髪の毛を引っ張る意地悪を自分の中で
却下する。
次は、虫を捕まえてハイネに見せる
(虫....怖い....捕まえられない....)
これもシズクの中で却下になる。
次は、ハイネの前で怖い話をする。
しかし怖い話を仕入れたら自分の方が
怖くなってしまったのでこれもシズクの中で却下する。
(う~ん う~ん 意地悪....難しい....)
シズクのアイディアが出尽くして行き詰まって居ると.....
ふとシズクの目にミーナが見せてくれた
夏の流行の髪型特集と言う見出しの
ファッション雑誌が机の上に置いてあるのを見つける。
何気なくシズクが雑誌をパラパラと捲ると
(これだったら....ハイネ....痛く....無い)
とシズクなりのハイネに対しての
意地悪を見つける。
早速 シズクはミーナとマリアに事情を
話して手伝って貰う。
事情を聞いた二人は最初 それのどこが
意地悪なんだろうと首を傾げたが
シズクが小さく拳を握り眉を少し吊り上げて「お願いします....」と言うので
まぁ確実に面白い事にはなるだろうと思い
シズクの願いに協力する事にした。
そして後日.... ハイネは欠伸をしながら
バインダー局に向かって居た。
(さあて 今日もバリバリ魂狩って仕事するか....)とハイネはドアを開けた。
ちなみに昨日シズクを泣かせた事は
ハイネの中でリセットされていた。
基本的にミーナやナイトに怒られても
シズクに完全無視されなければハイネの
中ではそんなの関係ないのだった。
そしてハイネがドアを潜ると....
「ハイネ....見て....」とシズクの声が
聞こえたのでハイネが反射的に振り向くと
そこには、いつもの二つ結びの髪型から
ミーナとマリアに手伝って貰って
纏めた 後ろで髪をアップにして御団子にしたシズクが立っていた。
ハイネはそんなシズクの姿を見て目を
丸くする。
髪を後ろで纏めたのでシズクの白い
首筋が露わになりハイネは咄嗟に視線を
横に逸らす。
(なっ....何だアレ....)ハイネの顔がどんどん熱くなり心臓もドクドクと鼓動を
打ち始めて居た。
(なっ 何で今日こいつ髪型違うんだろう)
ミーナとナイトの差し金か?
はたまた罠か 夢か?
ハイネの頭は混乱していた。
一方のシズクは、ハイネの反応を見て
意地悪は成功したと思っていた。
そうシズクの考えた意地悪それは
ハイネに髪を引っ張られ無い様に髪を
一纏めに纏め髪の毛を引っ張られにくく
すると言う意地悪だった。
いつもの二つ結びだと髪の毛が手に取りやすく すぐ引っ張られてしまう
けれどこれなら髪の毛を掴みづらいので
引っ張られる前に逃げる事が可能だと
シズクは思って居た。
それが証拠にハイネに視線を逸らされ
心なしか顔も少し赤い気がする。
ハイネが悔しがっていると思ったシズクは
最後にハイネにシズクなりに注意する。
「もう....意地悪しない....髪の毛....
引っ張ら無い....ハイネ....反省した....」
とシズクに上目遣いで言われたハイネは
「っ・・・」心臓が早鐘を打っていた。
(何だコレ・・・ ちくしょう・・)
ハイネの心臓は限界に近づいて居たので
早く玄関のドアを潜って部屋に籠もって
一人になりたいのだがシズクが前に立ち
塞がって見つめて来るので進むに進め無い
そしてハイネはとうとう....
「しない.... しないから....早くどけよ
そこ....」とシズクに言って一目散に部屋に
逃げだしたのだった。
そんなハイネの後ろ姿を見てシズクは
(どうしよう....やり過ぎちゃった....)と
罪悪感を抱き....ハイネを怒らせたと
思い謝りに行くのだが.....ハイネに
「煩い!しばらく俺の視界に入って
来るな!」と部屋を追い出された為
シズクはミーナとナイトに泣きながら
「うわああ~ん....ハイネに....ぐずっ....
嫌われた~あっ....どうしよう~」と
縋る事になるのだった。
後日ミーナとナイトが間に入りシズクの
ハイネに対する誤解は、何とか解けたのだった。
ここではないどこか
ピッ ピッ ピッと規則的だった心音が
ピピピと断続的な音に変わり最期に
ピィーーっと伸びた長い音が鳴った
そうして祖父は安らかな顔で、
ここではないどこかに旅立った。
皆に見守られ嬉しそうな祖父の顔が
最後に僕の記憶に残った。
君と最後に会った日
君と最後に会った日 君は、いつもの様に
「じゃあ 行って来るね!」と僕に元気良く手を振って飛行機に乗った。
昔から一所に留まれ無い君には飛行機は
なじみ深い乗り物だった。
いろいろな国に行って観光旅行を楽しむのが君の趣味だった。
今は、天国と言う僕の手の届かない所へ
行ってしまった君
天国は、どうだい? 君にとっては
天国なんて場所は、目新しい物でいっぱいだろうから退屈してないかもね!
僕もいつかは君の隣で天国旅行を楽しむ
つもりだ。
けれど それまでは、君が先に下見を
しといてくれ
そして僕が天国まで辿り着いたら
君が自慢気に 胸を張って
「此処の案内は私に任せてよ!」なんて
胸を拳で叩いて僕を嬉々として案内する
君の姿が目に浮かぶから....。
僕は其処に行くのが楽しみになっているんだ。