Saco

Open App
2/3/2024, 5:32:25 AM

勿忘草(わすれなぐさ)

小さく寄り集まって 咲いている花を
お花屋さんで見つけた。

何て言う花ですか? と店員さんに
聞いたら 勿忘草です と言う答えが
返って来た。

勿忘草?聞いた事は、あるが あまり
身近に見掛ける花かと聞かれれば
多分 私は、首を振って否定を返すだろう
この小さい花弁が勿忘草と言う花だとは、
私は気付かないからだ。

見ると色も ブルー ピンク ホワイトと
三色あった。

店員さんは、嬉しそうに私の顔を見て
勿忘草の花言葉も教えてくれた。

花言葉は、色によって それぞれ違うらしい....

【勿忘草の花言葉】

ブルー 真実の愛 誠の愛

ピンク 真実の友情

ホワイト 私を忘れないで らしい...

私は、何となく その三色から
ホワイトの勿忘草を買った

勿忘草の名前と花言葉が何となく近い感じがして らしいと思ったから

後でその事を 恋人に話したら
君らしいね と笑われた。

私を忘れないで

いつか私が 皺くちゃのおばあちゃんに
なって 亡くなっても ふとした時に
私を思い出して 心に留めてくれます様に
なんて事を思ってわざわざ買った訳では
無いけど
貴方なら私が皺だらけのおばあちゃんに
なっても 最期まで愛してくれる...

それだけは、確信を持って思えるから

だから私は、ホワイトの勿忘草を
二人で鑑賞できる 窓辺の台の上に花瓶に
入れて置いた。

私を忘れないで もちろん私も貴方の事を
最期まで愛してる....。

2/2/2024, 6:54:22 AM

ブランコ

公園のブランコに乗りたいのに いつも
先を越される。

「次貸してね!」って言ってるのに
なかなか貸してもらえない
しまいには、横入りされ
別の子がブランコに乗ってしまう

私は、泣き出して、
「次は、私だもん! ずっと並んでたのに」と 乗っていた子を突き飛ばして
転ばせた。

その子は、膝を擦り剥いて 鼻血を出して
泣き出した。

その内 大人の人が寄って来て
突き飛ばした 私を責めた。

どうして? 私が怒られるの?
代わってくれなかった子が悪いのに...
私はずっと待ってたのに....

理不尽だ 誰も分かってくれない
大人なんて嫌い!!





【20年後】

私は、大人になり二児の母親となった。

今 当時と全く同じ状況が目の前で
繰り広げられていた。

私の娘 はなちゃんが よその家の息子さんのたっくんをブランコから
突き飛ばしたのだ

当然 たっくんママは、激怒していた。
私は 深く深く頭を下げたっくんママに
謝罪した。

公園から家に帰る道すがら 娘は一言も
喋らず俯いていた。

「はなちゃん」と私は、呼び掛けてみる。
が返事はない

当時の私も不貞腐れて 一言も喋らなかったっけ....

親子だなあ...

私は、娘の頭を撫でる。
「はなちゃん 偉かったね! ちゃんと
順番守って 並んで 誰にでもできる事じゃないよ! 偉い 偉い!」
私のその言葉に娘は顔を上げて
大きな丸い瞳から 大粒の涙を零す。

私は、泣きじゃくる娘を優しく抱き締め
明日 幼稚園でたっくんに怪我させた事を
謝ろうと娘を諭す。

娘は、泣いて モヤモヤがすっきり
したのか 素直に頷いた。




「へえ~そんな事があったんだぁ~」
夫は呑気に晩酌をしながら昼間あった
出来事を説明する私に相槌を打つ



私は笑いながら...

「ねぇ 今思うと何であんなにブランコに
執着してたんだろう... 他にも公園の
遊具なんて いっぱいあったのに...」


「でも分かるかも 子供の目線からだと
ブランコって まるで空を飛んでいる
みたいになって 気持ちいいんだよなあ!」


「私に順番を譲りたくなくなる位
楽しかったんだあ!」と私は悪戯っぽく笑う


すると 夫は、バツが悪そうに
「あの時は、楽しすぎて 周りの声が
聞こえ無くて.... 悪かったと思ってるよ
でも あの時突き飛ばされたんだから
おあいこだろう... すげーあの時痛かったし...」


「そうだね...」私は嬉しそうに笑う


そう あの当時私は、ブランコを代わって
くれなかった男の子が大嫌っいだった。

それなのに 何の因果か 今は
一番大好きな人に変わっている。

大人にならないと今の気持ちが分からない
様に 子供の頃の私達だって 今の私達には分からないだろう...

なにせ 子供の頃の気持ちを大人になるまで持ち続けるのが難しい事なんだと...

正面のテーブル席に座る夫を見ながら
私は、しみじみと思ったのだった。

2/1/2024, 6:59:36 AM

旅路の果てに

魔王を倒す聖剣を抜いて、旅立って十年
ついに魔王を打ち倒し 平和を取り戻した
我々パーティーは、王都に帰りたくさんの
人に感謝された。

馬車で国中を周り凱旋パレードをして
都の人達に恭しく挨拶をされ
握手を求められ 

一日が終わりに近づいた夜は、
酒や食事や踊りを供され
ささやかな宴の中心になった。

この日を我々パーティーは、
待ち侘びていた。
長年 混沌に苦しんでいた
都の人達は、肩の荷が降りた様に
安堵の息を吐き笑顔を見せていた。

これで、我々の冒険は、終わった。
この宴が終わったらパーティーは
解散し また新たな道をそれぞれに見つけ
旅立つだろう...

旅路の果てに得た経験を財産に
また新たな旅路を進め

それぞれの安住の地の果てを見つけて
辿り着くまで...

我々パーティーのそれぞれの冒険は、
続いて行く。 .....。

1/31/2024, 6:25:45 AM

あなたに届けたい

赤いポストから手紙を回収する。
僕の仕事は手紙を届ける事

さまざまな人からの手紙をさまざまな国へと届ける仕事に僕はやり甲斐を感じている。

皆の思いが詰まった手紙を僕の手で届ける。

遠い地で別々で暮らす家族
離れた距離で愛を育む恋人
引っ越してしまって会えなく無った友達

その人達の思いを届け 縁を結ぶ
これっきりの出会いにしない為に
別れの時を再会の時に繋げる為に

僕は、今日も手紙を届ける
あなたにこの思いを届ける為に
あなたに届けたいから
僕は、今日も 相棒のカブを走らせ
どんな悪路でもひた走る

手紙を出した人の思いを届ける為
出された人の笑顔を見る為に...

だから僕はこの仕事が辞められないんだ
いつまでも.... ずっと。

1/30/2024, 5:47:29 AM

I LOVE....

「僕と付き合って下さい!」そう告白され
返す返事は、決まって...

「ごめんなさい 好きな人が居るの!」
だった。...
決まって告白した人は、この世の終わりみたいに撃沈して帰って行く。

ため息を零し 肩と背中を地面に下がらせ
俯いて 帰って行く。

異性の告白の呼び出しが終われば
次は、同性の苦情の呼び出しに行かなければならない。

中庭の人が少ない場所に呼び出されると
そこには、いつもの様に
お決まりのパターンみたいに
三人の女子グループが固まって私を
待っていた。

右側と左側の女子が眉尻を上げ
私を怖い顔で睨む。

真ん中の挟まれている子は反対に
気まずそうに友達二人を見つめていた。

「ちょっと この子の好きな人を振るって
どういう事 この子は、ずっとあの人の事
好きだったのに振られて それでもまだ
ずっと好きなのに...」

私は、首を傾げ にっこりと笑う
「そうなんだ 可愛いね!健気だね!
何で 貴女と付き合わないんだろう
不思議だね!」

私は、心の中で思った事を素直に口にする。

女子グループ達は、真ん中の子は瞳を
潤ませ 涙の膜を張らせ
左右の子達は、私を仇の様にさらに睨む

「何それ 自分が一番だとでも思ってんの!」 左側の子が声を荒げて私に
向かって言う。

私は、その子の言葉に嬉しそうに笑みを
浮かべ

「うん! だってあの人私の事一番に
愛してるなんて言うんだもん!
一番に私を愛してるのは私なのに!!」
その答えに女子グループ三人は、
ぽか~んと口を開ける。

私は、そんな三人の表情に疑問も浮かべず
もう用は済んだとばかりに踵を返した。


そう 私の好きな人それは、私
私は私が一番好き
寧ろ自分を嫌いなんて言う人に出会ったら
何で?と疑問符を浮かべる程
私は、私が好きだ
自分自身に愛を注ぐのに余念がない

学校から 帰ったら一日の疲れを
解す為に 全身マッサージをする。
勉強が終わったらストレッチをして
強張った体を柔らかくする。

食事は、嫌いな食べ物は絶対食べない
だって自分が嫌いと思ってる物を
食べたって苦しいだけでしょ?

夜は心身共にリラックスできるアロマを焚き 深い眠りに付く

そうして朝起きたら 鏡の前には、
可愛い私が出迎えてくれる。

おはよう私

I LOVE 私 これからもずっとずっと
貴女を愛してる。

Next