今日は、私の作った物語ではなく、私の言葉を綴ろうと思う。
“大好き”
この言葉に最近、違和感を持つ。友人(クラスで仲良い人)にこの言葉を度々言われる。周りの人も同じような言葉を飛び交わせる。
笑ってそれを言う人々が私には気味悪く見えるのだ。
目の前の人を離さないためのことば。この関係を保つため、相手を利用するための汚れたことば。
どうやっても、その言葉が本当にその人から出ているように見えない。嘘が染み付いた言葉にみえる。
そんな言葉を軽々しく行って良いのだろうか。
その言葉を発する時そう思ってしまう。
それを言わないといけない関係は本当に「ともだち」と言えるのだろうか。
そう思うと、私は何も信じられなくなる。
全部が全部嘘に見える。
こんな考えを持つ私がひねくれている。
みんなはそんなこと思って言っていない。
そんなこと分かってる。
でも、怖くて怖くてたまらないのだ。自分が嘘をつくみたいで。言い続けることで、それが意味の無い言葉になりそうで。
そうおもいながら生きている私は、いつになったらみんなと同じになれるのだろうか。
“大好き”という言葉を
何も考えず
純粋に言える日が来るのはいつなのか。
もし、なんでも知っている神様がいるならこの言葉の意味を教えて欲しい。
【大好き】
“左手”
就活から家に帰ってくると、あの人が寝ていた。
スーツはやっぱり息苦しいなと考えながら、あの人を見た。
あの人はいつも、人気者だ。会社は忙しいはずなのに、度々うちに来る。きっと仕事で疲れたのだろう。
目の前のソファがあるにもかかわらず、彼はラグですやすや猫みたいに寝てる。
イケメンと言われるだけあって、やっぱり寝顔は綺麗で。髪を伸ばしたら女の子にも見えそうだ。
体は横を向けて寝ていたから、私も向き合うようにゴロンと寝転がってみた。スーツのせいで寝心地は悪い。
しかし、目の前の人を見てると心地よくなってくる。
不意に、目の前に手があることに気づいた。手のひらが上を向いている。
昔、手繋ぐの好きだったよな。
なんとなく、手を近づけてみる。あの人の左手と私の左手が、重なる。急に暖かくなった左手はあの人の左手が優しく握っていた。緩いけど、離せる訳では無い。
私達はずっとそんな感じだったのかも。
今は日が沈んでいるはずなのに、その手は陽の光が当たっているみたいに暖かった。気づいたら、ふわふわ眠りについていた。
目が覚めると、あの人は手を握ったままこっちを見ていた。
「おぉ、おはよ。」
『ん…うぅ、おはょ』
「まだ、このままでも大丈夫?」
『うん。いーよ。どうやって入ってきたの?』
「部屋、隣でしょぉー」
そんな感じで、ふわふわ適当に喋る。
この時間が、暖かくて、心地いい。
終わらなければいいのに。そう願ってしまった。
【あの日の温もり】
“ノストラダムス”
「ねぇ。死んだらどこ行くん?」
『そりゃ、楽園に決まっとるよ。牧師様が言ってたやん。』
「そしたらさぁ、うちらあと3年やな。」
『あー。ノストラダムスか。たしかに。』
「うちら高3や。。」
『ほんとに終わっちゃうんかな。』
「終わるんちゃう?知らんけど」
そう言って私たちは中学校の屋上でタバコを吸う。
大人(親)が吸っていたら、自分も吸ってみたい思うんは、当然だと思う。
「終わらんかったら、何しよ。」
『そんときゃそんときやな。』
『…終わるまでに携帯欲しいわ。』
「お姉ちゃんのお下がりじゃないやつ?」『うん。』
「終わらんかったらさ、一緒にいよ。」
『…うん、、、いいの?うちで。』
「あんたがいい。」
『…ありがとう。』
「終わらんでも、一緒がいい。」
『えーよ。』
これからも、この心地よい会話ができると考えると、なんかムズムズした。でも、それさえも心地よかった。
ノストラダムスがおらんかったら、こんな会話出来んかったって思ったら、この予言も可愛いもんだと思った。
【ありがとう】
【あなた】
2人で床に寝転がる。
他人を家に入れるのは初めてだった。
「飲んじゃったね。お酒。」
『ね。ビール、あんな味するんだね。』
高校から一人暮らし、私は初めて友達と笑った。
「あともう一個ずつ、」
『飲んじゃお。アルコールで肝臓いっぱいにしよ。』
そう言って2人でぬるいビールを飲んだ。不味いけど、ふわふわしてたからあんまし気にならなかった。
お互いに向き合うように寝て、互いの手を握り合う。
「あったかいねぇ。」
『もしかして、酔い始めてる?』
「うん。ちょっと、いや、けっこうやばいかも。」
学校終わり、急にピンポンしてきて。あなたは、何故かコンビニの袋に沢山の缶を入れて持ってきてさ。
あたし、あなたのそゆとこ好きだよなんて言えないけど。メイクも落としてないし、課題も終わってないし。
ぼろぼろだけど、あなたといる時は幸せって思ってる。
目の前ですやすや眠るあなたを見てそう思った。
『これからも続いたらいいなぁ。』
「そうだね。」
寝ていたと思ってたあなたが急に喋るから驚いた。
『…起きてたの?』
「んふ、うん。」
繋がれた手の温かさを感じながら、私たちは眠りについた。
明日も、明後日も、毎日は呼吸みたいに当たり前に続いてく。私の物語は、終わんない。
終わらない物語の中で、あなたは最重要人物だよ。
【終わらない物語】
私の目の前には
宇宙がある
小さい枠にはまっているけどそれは確かに、自分を示し続けている。
人には作り出すことが出来ない。神が創ったとも言われる宇宙、地球、私。
神が創ったものという意味では私も宇宙も、同じかもしれない。
美しい道理にはまっている宇宙。もし、それを全て見ることが出来たら、きっと私になにか価値が生まれる。
宇宙よりも暗い世界を人は創り出すことが出来るようだ。ブラックホールのような、小惑星爆発のような。
それでも遠くから見たら、きっと美しいのだろう。
今、目の前にある星々は一体どこから来たのだろう。
そう思いながら、宇宙を見る。時計を見ると、長針と短針がすれ違いそうになっていた。
ベッドに入って、目をつぶれば見える。
吸い込まれそうな暗闇にある宇宙が。
手のひらに届くのは何億光年先の話だろうか。
【手のひらの宇宙】