【またね】
やっと帰ってこれたよ、。
ずっとあなたのことを見てたけど、
最近呼んでくれる回数が少なくなったね。
前は、たくさん読んでくれて色々話してくれたよね。
だんだん笑わなくなってたからさ、心配だったんだよ。
ちゃんと寝れてないよね?
前好きだったTV番組も録画やめちゃったよね?
あれめっちゃ好きだったじゃん。
辛そうな目でこっち見ないでよ、、
もし私のせいで辛いんなら、私消えるよ。
寂しいけど、怖くないよ。
だから、、、だからまだ、しなないで
、あーあ。もう煙消えちゃうね
じゃあ、、またね。
いつでも行くから、呼んでよ。
しょうもない話も、愚痴も、世間話も、聞かせてね。
、、、お願いだからこっちには来ないでね。
散らかった部屋、一人の男がつけた線香が煙になって消えた。
男はまた、光の消えた瞳を閉じた。
今日も変わらず蝉が泣いていた。
【ただいま、夏。】
私にとって夏は呪いだ。
暑さと同じように、活動的になっていく人、
多すぎる課題、無駄に長い1日、
そんなことを考えてたら、昼になってて、ニュースが流れた。
何にもない部屋にニュースの音が、大きすぎる位に響く。
涼しい部屋が寒いくらいに感じて、息が苦しくなる、
頭に衝動的に浮かぶのは、
さよならをした、あの子のこと、あの街のこと、
いつまでも、いつまでも、あの夏に取り残されている自分にまた、出会ってしまった。
【タイミング】
出会って、別れて、
出会って、別れて
そんななかで出会うあなたに、
近づきたいけど、
君にはもっと大事な人がいて、
勝手に離れてしまった、
だから私は願い続ける。
出会うタイミングが遅かった、
もっと早く出逢いたかった、
あなたに、幸あらんことを。
あいたい、あいたいよ。
【心だけ、逃避行】
「ねぇ、あたし、海外行く方法、思いついちゃった。」
『え、無理でしょ。あなた、ここから出られないんだから。』
「いや、それができるんだよ。最近みつけた。心だけ旅行。」
『どうやってやんの?』
「めぇつぶんの。そんで、想像すんの。」
『目を、、、はぁ、、、、』
「行けないって思うでしょ?」
「それがさ、結構行けた気になんのよ。とりあえず、こっち来て。」
「じゃ、今日はどこまで向かいましょうか?」
「アフリカとか行ってみる?」
『えー、ヨーロッパとかの方がよくない?』
「んぇえ?ぜったい楽しいのにぃ…」
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
…ガコンガコンガコン…
プルルルルプルルルル
「はァっ!、はァっはァっ」
「あ…すいません、すずきですっ。」
《てめぇどこいってんだよ、仕事溜まってんぞ!》
「はい、すぐ戻ります、はい、失礼します。」
…久しぶりに夢を見た。
あの時想像した大人に、私は、多分なれてない。
…めぇつぶったら、行けるかな。
そう思って、私は目をつぶった。
心だけ旅行、目的地は、あなたがいるところ。
“消えてしまいそうな夜に、”
時々自分が潰れてしまう様に感じる日がある。
今日、その日が来てしまって。
何も考えられないけど、ただ漠然と「私は何もうまくできない」という言葉が脳にナイフを突き刺す。
だんだん胸がぎゅっと握られた様に苦しくなって、息をしてるのに息をしてないみたい。
そんな日だからこそ人の温もりを求めてしまう。
他人の優しさに縋りたくなってしまう。
私は、あなたに電話をかける。
あなたの温かい声が、私をここに存在させる。
「もしもし。」
『もしもし?どうした?』
「今家いる?」
『うん。いるよ。』
「いってもいい?」
『いーよ、まってるねー。』
いつもと同じ会話のはずなのに、私は涙を流していた。
私は足早にあなたの元へ向かった。