『愛言葉』
付き合って何年経ったっけ?
「大好き」に代わる言葉も通話を終える時の挨拶も、二人にしかわからないテンプレート
愛してるなんて言わなくても、合言葉の中にそっと佇む愛がある
『友達』
知り合いはたくさんいる
同じ目的・目標で動く仲間もたくさんいる
先輩とか後輩とか、仲の良い人もたくさん出来た
でも、友達って呼んでいい人ってどれくらいいるんだろう
子どもの頃は簡単に出来てたことが大人になるとできなくなるのはまぁよくあることだけど
大人になった今だからこそ、ちょっと自信がなくても「友達」と呼ぶ勇気もきっと必要なんだと思う
『行かないで』
行かないで。
捨てないで。
一人にしないで。
願っても、祈っても、縋っても、叶わないことはわかってる。
君は一度決めたら変えない性格だから、引き留めたところで考え直してはくれないって知ってる。
君のことたくさん知ってるはずなのに、なんでうまくいかなかったんだろう。
行かないで。
ここにいて。
好きでいてほしかった。
ずっと一緒にいたかった。
同じ気持ちでいてほしかった。
それが叶わないから、君の元を先に去る。
『行かないで』って、君が言ってくれればいいのに。
『衣替え』
自動販売機に「あったか〜い」飲み物が出回り始める季節になった。
我が家では母が押し入れの管理権を握っていて、毎年仕事に行っている間に夏服が仕舞われて冬服が引っ張り出されている。
ありがたいといえばありがたいのだが、どこに収納されたか不明なこともあり、そもそも自分でやりたいが、母はとにかく、根っからの世話焼きなのだ。
そんなお節介な母が今年、病により他界した。
元々コロリと逝きたいと願っていたから、長く苦しむことにならなくて良かったのだけど。
世話焼き、お節介、子離れできない、と疎おしく思っていたのに、母の優しさばかり思い出してしまう。
それにしてもここ数日で急に秋めいて肌寒くなってきた。
ああ、衣替え、しなきゃなぁ。
『声が枯れるまで』
ニンゲンという動物の鳴き声は、なんと7139種類もあるらしい。
生まれた種族・地域によって異なる特徴を持ち、その全てを聞き分けるのは至難の業だ。
中でも特徴的なのは、ニンゲンは他の動物に見られるような求愛や威嚇のためだけでなく、音楽という文化のためにその鳴き声を巧みに使う。
音楽のために使う道具を楽器というらしいが、声はニンゲンにとって誰もが持っている最初の楽器であり、誰とも同じものがない自分だけの楽器なのだという。
中には、声だけを重ねて作る音楽もあるらしく、実に興味深い文化を持つ生物である。
あまり酷使させ過ぎると掠れていくようだが、その儚さももまた一興か。
では、今日も声が枯れるまで、歌ってもらうこととしよう。