好きな色
よく聞かれる無難な質問。
「好きな色は?」
無難な質問には無難な答えを。
なんて思ってた。
特に色にはこだわりなんてないし。
けどあなたに出会ってから、
私の中に好きな色ができた。
日に日に好きな色は特別な色に変わり、
気付けば身の回りの色はその色ばっかりになっていて。
好きな色。それはあなたの色。
会えなくても、あなたの色は私に元気をくれる。
あなたがいたから
あなたがいたから。
毎日頑張れた。
あなたに会える日まで。
そう考えながら、仕事も頑張れた。
なのに、あの日。
あなたとの約束は泡のように消えていった。
まるでもなかったかのように跡形もなく。
あの日から
ゆっくりと前に進む。
止まりそうになりながらも。
またあなたに会える約束ができるまで。
ゆっくりと。
あなたがいた時のように。
旅路の果てに
長い間家に帰っていない。
彼に伝えずに。
彼は大丈夫かな。怒られるな、きっと。
そろそろ帰ろうか。
なんて思ったけど、なんせここに来た記憶がない。
いつか彼と行った砂浜に似ているけど。
帰り方がわからない。どうやって帰るのか。
なんて思いながら、とりあえず、のんびりと。
色んな彼との思い出を巡らせながら1人歩いた。
ふと目の前に見たことの無い、違和感のあるドアか
これまた違和感のある砂浜にポツンと。
でも、なんでだろう。
すごく……呼ばれている気がする……
彼の。彼の温もりを感じる。
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「おかえり」
目を開けると大好きな彼が泣きながら微笑んでいた
「ただいま。遅くなってごめんね」
そう微笑んだ私を強く優しく抱きしめて。
あぁ、すごくすごく長い旅路だった。
I love...
いつからだろう。
倦怠期のような関係ではない。
かと言って昔のようなラブラブさもない。
仲が悪いのかと聞かれても、
正直、仲はいいほうだと思う。今も。
きっと、2年半という月日は
心地のいい空気と当たり前という慣れを
私たちに作ったんだろう。
そんなことをふと思いながら、
久しぶりに彼からの言葉が聞きたくて。
隣で本を読みながら寛ぐ彼の耳元でそっと囁く。
(I love you my sweet)
彼からの言葉はなかったけれど。
私は満足。
だって彼の耳がとっっっても赤いのがわかったから。