君が中学校を前に転校すると聞いた僕は何て反応すれば良いのか分からなかった
二人うつむきながら帰る帰り道
『そうなんだ…大変だね…』
そんな言葉しか言えなかった
君は少し笑って見せて
『うん…。でも家の事情だから仕方ないよ』
その笑顔が作り笑いだという事は明らかだった
それから数日後君は教室から消えた
残された木製のイスと机だけが君の面影だった
僕はただ孤独を感じていた
本当の気持ちを伝えるのは勇気がいる
でも
それでも
もう一度巡り会えたら君に伝えたい
『君の事が好きでした』と
いつもすれ違うよね私達
そんな言葉から別れ話は始まった
私よりいい人見つけてね
そんな捨て台詞言われても僕は何も感じなかった
僕はまた独りで生きていくのか
孤独は辛い
君と別れて1年がたった
今も忘れられない
僕の部屋のインターホンがなる
最近知り合ったセフレだろう
今日は約束していたから
どんな女の子を抱いても君の事を忘れられない
こんなふうに生きていくのか…
今日も、きっと明日も
君がこの部屋を出て行ってから
何時間経っただろうか
僕はただ壁にもたれていた
今夜僕は全てを失った
もう少し居てくれよ
否定していたい
愛していたい
そんな言葉も君の胸には届かず
ドアノブを捻る音と君のさよならだけがこだました
人は人を愛する事ができるが
愛は時にナイフに変わる
それが運命なのなら僕は君に刺されて死にたい
僕はそのまま心をそっと固く閉ざした
もう二度と傷つけないように
いや傷つきたくないように
もう少し居てくれよ
否定していたい
愛していたい…
今日君に似てる人を見かけた
でも君であるはずがない
君はもう写真の枠の中にしか居ないのだから
犯人は飲酒運転のトラックだった
まるで通り雨のように君はこの世を旅立った
犯人を恨んでも恨みきれない
通り雨が僕の頬を濡らした
ただそんな毎日が続いていた
いつ人は死ぬか分からない
だから毎日を後悔のないように生きていかないといけない
人は皆見失ってる
手足が自由に動くだけで
目が見えるだけで
しゃべれるだけで
聞こえるだけで
誰かを愛し愛されるだけで
この文字を読めるだけで
朝起きて呼吸できるだけで
人は皆幸せだという事を
また見失ってしまった
愛の形を
君の姿を
これからどうすればいい
形の無いものばかりが支配しているこの世の中
僕はため息をついた
いったい何ができるというのだ
僕の心の中で不調和が飽和していく
もうダメかもしれない
いつも君を思い出すんだ
隣で寝ていた君の寝顔を
でももう戻れないんだね
それを知ったとき初めて君の優しさを知った
拳を固く握りしめた僕はただ月を見ていた
君の前で強がっていた僕は一番弱虫かもしれない
しばらくしてカーテンの隙間から覗かせた光が僕を現実へ引きずり戻す
そうか
一番大切なものっていうのは形にできないんだ
それを教えてくれた君に伝えたい
ありがとうと