花のやわらかな香りや、石鹸の清潔な香り。時には紅茶のような落ち着く香り。
人それぞれ好みがあって、香水自体苦手な人だっている。
私はそれでも、香水を付けるのは意味があると思う。
香水は自分のイメージだ。人は1度嗅いだ匂いは記憶に残ると言われているし、何より付けてるってだけでなんだか大人っぽく感じる気がする。
ふとした瞬間、大切な人の香りを嗅ぐと安心した気持ちになるように。
あなたの香りを探して、身にまとって欲しい。
きっと、それは誰かの記憶に残るから。
#香水
もう1ヶ月も前になるだろうか、あなたを見かけなくなったのは。
私はあなたを特別に大事に思っていた訳じゃないし、見かけたら話しかける、そのくらいの付き合いの友達。
の、はずだったんだけど…私はあなたと話す時間は宝物になっていたみたいで。
あなたを見かけなくなって1週間を過ぎたあたりから、なんだか心にぽっかり穴が空いたみたいだった。
その後も心のどこかでまた、会えるのを待っていた。
あなたは来てくれなかったけど。
あなたに会いたい。また、話がしたい。その一心で気が付くと学校を飛び出していた。
数回訪れた記憶を頼りに、あなたの家に。
緊張しながら呼び鈴を鳴らす。あぁ、この時間が1番ドキドキする。
1、2分くらい経っただろう。モニターが着いた音がした。
「よっ、元気…ではないか、久しぶり!」
やばい、ちょっと裏返ったかも。
できるだけ気まづくならないように笑って呼びかけてみる。
少し間が空いてからあなたは私の前に出てきてくれた。
思わず、あなたを引き寄せた。
ちょっと困ってるかなぁ、なぁんて。
私はあなたに、「なんで来なくなっちゃったの?」とも「どうしたの?」とも言わない。
ただ、そばで寄り添っている事で伝わるものがあると思うから。
#言葉はいらない、ただ...
もう、何もしたくない。
どうせなら死んじゃいたい、でもそんな勇気も無い。
今日も1人、ベットの上でそんなことを考えている。
死にたいと思う理由だってわからない、そんなに辛いことがあったわけでも、思い出したくもないトラウマがある訳でもない。
ただ、平凡に生きてただけ。
そんな自分に嫌気がさして、何もしたく無くなったのかもしれない。でもそんな理由は馬鹿馬鹿しくて、なんだか嫌だった。
いつかは、また平凡な日常に戻らなくてはいけない。
そんな事を思うとまた、死にたいという思考になってしまう。
もう、どうしたらいいのかな。
その時、玄関の方から呼び鈴の音が鳴った。
今は家に私以外誰もいない。仕方なくモニターを見るとそこには。
「よっ、元気…ではないか、久しぶり!」
1ヶ月ぶりに会う、友人が少し困ったような笑顔でモニター越しに立っていた。
私がドアを開ければ、何かが変わる。そんな予感がした。
#突然の君の訪問
私は雨が嫌いです。
屋根や地面に落ちた時の音が私にとっては耳障りだから。
でも、雨上がりは大好きです。
雨上がりの草木の匂いや、空の色が明るくなる瞬間は私にとっては美しく感じます。
だから、雨が降ったら少し立ち止まれる場所を探して、雨が上がるのを待つんです。
晴れになる瞬間を待つ時間は、どんな日でも楽しいと思うから。
#雨に佇む