パンの耳

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もう1ヶ月も前になるだろうか、あなたを見かけなくなったのは。

私はあなたを特別に大事に思っていた訳じゃないし、見かけたら話しかける、そのくらいの付き合いの友達。

の、はずだったんだけど…私はあなたと話す時間は宝物になっていたみたいで。
あなたを見かけなくなって1週間を過ぎたあたりから、なんだか心にぽっかり穴が空いたみたいだった。

その後も心のどこかでまた、会えるのを待っていた。
あなたは来てくれなかったけど。

あなたに会いたい。また、話がしたい。その一心で気が付くと学校を飛び出していた。
数回訪れた記憶を頼りに、あなたの家に。

緊張しながら呼び鈴を鳴らす。あぁ、この時間が1番ドキドキする。

1、2分くらい経っただろう。モニターが着いた音がした。
「よっ、元気…ではないか、久しぶり!」
やばい、ちょっと裏返ったかも。
できるだけ気まづくならないように笑って呼びかけてみる。

少し間が空いてからあなたは私の前に出てきてくれた。
思わず、あなたを引き寄せた。
ちょっと困ってるかなぁ、なぁんて。


私はあなたに、「なんで来なくなっちゃったの?」とも「どうしたの?」とも言わない。
ただ、そばで寄り添っている事で伝わるものがあると思うから。

#言葉はいらない、ただ...

8/29/2023, 2:49:04 PM