君と飛び立つ
結局一度も共に宇宙を飛んだことはなかったな
今更ながら星が広がる空を見上げて思う
彼とは宇宙を飛び回るときはいつだって敵だった
背中を預けて戦えたらそれはどんなに満たされただろうなんて今更なことを考える
そう今更だ
遠い遠い過去のような違う世界のような
そんなおとぎ話
それでも少しだけ夢をみるもしも彼が自分の手を取ってくれたならそうしたら
意識が“前”に引っ張られそうになったそのとき
ヴーヴー
胸のポケットに入れていた携帯が震えた
仕事で何かあっただろうか
取り出して名前をみる
彼だ
なんだか笑ってしまう
滅多に連絡なんてしてくれないくせに自分が“前”に引きずられそうになるとこうやって声をくれるのだ
うんそうだな
共に宇宙は飛べなかったが今はこの地で共に歩んで笑いあえるのだ
それは十分すぎるほど幸せだと今は知っている
ふわふわした心地で電話に出る
「もしもし」
「…なんでそんな嬉しそうなんだ貴方」
君と話せるからだなんて言ったら電話を切られてしまうだろうかなんて思いながら会話を返す
君と共に飛び立つことはできなくても共に星を眺めることはできるその幸福を噛み締めて
【今という幸福】
秋恋
暑い暑すぎる
外に出るとかどんな拷問だ
今何月だと思っているんだ地球は
夏延長キャンペーンか?フザケンナ
誰が喜ぶっていうんだそんなキャンペーン
どうせ夏休みを延長しろ
社会人には関係ないがな!!
嗚呼、秋よこい
君が恋しい
【未だ遠い】
終わりにしよう
お前がいなければ
俺はこんなに強くなる必要はなかった
大軍を率いることも
軍備の調達に勤しむこともなかったのだ
あと女関係に悩むこともなかった
全てはお前を殺すために
俺はここまでたどり着いた
俺が死ぬかお前が死ぬか
どちらも死ぬか
さあ終わりにしよう我が妹よ
永きに渡るに世界を巻き込んだ兄妹喧嘩に決着を
【最終決戦】
あなたがいたから
生きたいと思ったことはなかった
ただ死ぬ理由がなかったから生き続けてきた
でもあなたが友達と呼ぶから
あなたに会いに行こうかなと考えることが増えた
綺麗なものみたとき
あなたに伝えたいと思うようになった
罪を押し付けられても
あなたがいたから諦めずに立っていられた
そうしてあなたが庇ったから自分は生きている
どうしてといいたかった
でもあなたならそうするだろうと納得もしてしまった
だからあなたが望むならどんなに悲しくても笑おう
前に進もう
あなたが守ってくれたものを投げ出したくはない
だから今日も生きていく
【理由】
1年前
何も知らずにただ好奇心のまま冒険者になった
それから1年
仲間ができた
仲間を失った
友ができた
自分をかばって死んだ
自分の手で友を殺した
沢山の人を殺した
沢山の生き物を殺した
歴史を知った
過去を知った
宇宙の広さを知った
思えば遠いところに来たけれど
未だ知らぬことばかり
未知を求めて今日も歩みを続ける