お題『どこ?』
──どこ?
……今、隣から、聞こえてはいけない言葉が聞こえた気がした。
いや、これが、一緒に来て手探りの旅をこいつとしているなら、仕方ねえよな、となるのだが。
「……案内役やるって言ったのお前だろ。」
「たはは。いけると思ったんだけどな。」
呑気にそう笑う友人。お前の身ぐるみ剥いでここに置き去りにして、迷わせてやろうか、路頭に。
「お前が分からなくなったらおしまいだろ。お前の地元だよね!?」
「三ヶ月居たよ。」
「お前よくそれで地元とか言えたね!?」
もう地元の人に謝れよ。
思わず本当に頭を抱えてしまった。それなのに、隣のこいつは「あはは」と笑っている。
「まあまあ、ね、のんびり行こうぜ。迷うのも楽しいじゃん。時間決まってる訳じゃないでしょ?」
「まあ、そうだけどさあ…こう、不安になるって言うか…。」
「大丈夫!」
根拠の無い大丈夫に、ため息をついた。しかし、どこが心にぽっと、灯るものもあって。
「何が大丈夫なんだかな…。」
そう言いつつ、肩を並べて、整備されていない砂利道を歩いた。
お題『大好き』
あなたが大好き。
あなたがどんなに綺麗でも、醜くても。
何が好きでも、嫌いでも。
何をされると嬉しくても、悲しくても。
どんな過去があろうとも。
私をどう思っても、世界があなたをどう思っても、
きっと私はあなたに大好きと伝える。
だって、「私は」あなたが好きだから。
そこに誰かなんていらない。
大好きよ、
お題『叶わぬ夢』
自分にとって高すぎる崖に咲く花は、叶わぬ夢。
叶わない夢なんてないと言うが、手段を選ばなければ、という話だ。
どうしても叶わぬ夢というものは、ある、と思う。
しかし、それで悲観することはない。夢というものは、叶ってしまえば夢ではなくなるからだ。
お題『花の香りとともに』
花が匂い立つ。
君がやってきた香りがする。
花を携えながら、あたたかな日差しを背負って、憂鬱な気配を漂わせ、新緑色のよく似合う、君がきた。
僕はその名前を知っている。
はじめまして、春。
お題『心のざわめき』
心が喋りたがっている。
「困る」
「不安だ」
「でも少し、期待してる。」
都合のいい方へ状況が変わらないかなとか、誰かが代わってくれないかな、とか。
そんな心の言葉。