お題『どこ?』
──どこ?
……今、隣から、聞こえてはいけない言葉が聞こえた気がした。
いや、これが、一緒に来て手探りの旅をこいつとしているなら、仕方ねえよな、となるのだが。
「……案内役やるって言ったのお前だろ。」
「たはは。いけると思ったんだけどな。」
呑気にそう笑う友人。お前の身ぐるみ剥いでここに置き去りにして、迷わせてやろうか、路頭に。
「お前が分からなくなったらおしまいだろ。お前の地元だよね!?」
「三ヶ月居たよ。」
「お前よくそれで地元とか言えたね!?」
もう地元の人に謝れよ。
思わず本当に頭を抱えてしまった。それなのに、隣のこいつは「あはは」と笑っている。
「まあまあ、ね、のんびり行こうぜ。迷うのも楽しいじゃん。時間決まってる訳じゃないでしょ?」
「まあ、そうだけどさあ…こう、不安になるって言うか…。」
「大丈夫!」
根拠の無い大丈夫に、ため息をついた。しかし、どこが心にぽっと、灯るものもあって。
「何が大丈夫なんだかな…。」
そう言いつつ、肩を並べて、整備されていない砂利道を歩いた。
3/19/2025, 2:08:39 PM