ツユクサ

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8/6/2025, 1:59:29 PM

お題『またね』

もしもし?元気?
ごめん、ただ声聞きたくなって。元気そーだね、よかった。最近仕事どう?うまくいってる?

うん…え?やらかしたんだ。そっか。
そりゃつらいね。私なら咽び泣いてた。泣いてないの?偉いね。
大丈夫、やらかしても……何とか上がしてくれる!
はは、大丈夫だって。あんたなら誰かが助けてくれるよ。

じゃ、おつかれ、

8/5/2025, 1:44:58 PM

お題『泡になりたい』

プールの水に、どぼん、と身を投げて、深く沈んだ時。
私は水の中からきらきらする水面を見上げて、天へ還っていく泡を見るのが好きだった。
泡になりたい。
足元からぽろぽろと透明な泡になって、一緒に空気へ還りたかった。
おいていかないで。

8/4/2025, 10:21:02 AM

お題『ただいま、夏。』

実家に帰ってきた。
何も無いけど、広い家。
あれ、こんなところにこれあったっけ。
花の鉢植え増やしたの。
夜、ころころと虫の鳴く声がする。

ただいま、夏。

8/3/2025, 11:24:31 AM

お題『ぬるい炭酸と無口な君』

「あー!」
彼の骨ばった手の中にある、汗をかいたラムネを見て、思わず声が出た。彼は前かがみだった体を起こして、私を捉える。
「いーもんもってるね。」なんて茶化せば、彼は「欲しいのか。」と問うてきた。

「ううん、本当にいいもの持ってるなと思っただけだよ。」
石畳の階段に腰掛けて、どうぞ続けて飲んで。と少し手を差し出す。
「そうか。」
私の動作を見届けてから、彼はラムネの瓶に口をつけた。

相変わらず無口なやつだなあ、と思う。こちらから言葉を綴らなくては、会話がない。かと思えば、唐突に言葉を紡ぐこともあって、全く面白い男だなと思う。

「美味しい?」
「ああ。」

続かない。

「なんだか随分その子は汗をかいてるけど。」
というか、炭酸のはずなのに、浮き上がる泡がやけに少ない気がする。
「炭酸、抜けてね?」
彼は私の言葉に少し首を傾げ、瓶の底の方から、光をかざしつつ覗いた。それから一口、くいっと飲む。形の良い唇をスっと離すその動作さえ、少し見惚れる。まるで、映画を見ているようだ。
すると彼は真顔のまま口を開いた。
「本当だな」

蝉の大合唱が間を取り持つ。

「…ただの砂糖水飲んでたって…コト!?」
なんで!!!???と思わず仰け反って笑った。

「さっき口つけてなかった!!!???」
「気が付かなかった。」
「おもしれー男…………。」

ひとしきり笑ってから、「あー…笑ったな」と呟く。

「何か考えてたの?」
「ああ。少し」
「なら仕方ないな〜。」

そう返せば、彼は再度じっとこちらを見た。私も不思議に思って見つめ返す。蝉の合唱が少し静かになり、前髪を風が撫でていった。

「お前のことを。」
「私?」
なんで?と言いながら、乱れた髪の毛を少し払って耳にかけた。それ以降、彼は言葉を返してくれなかった。ただ、じっと私を見つめて、それからふっと目を離してしまったのだった。

8/2/2025, 11:57:30 AM

お題『波にさらわれた手紙』

ゆらゆら、何も無い海を揺蕩う。
ぷかぷか浮かんだ僕は、空を少し見上げながら、誰かに拾われるのを待っている。
ここはどこだろうか。
こんなに水面に近くては、あまり魚もみられない。時たま、跳ねる魚を見かけることはある。それと、たまに船とすれ違う。
誰かが読んでくれるその日まで、僕は、待つ。誰かが僕を拾ってくれるまで、閉じ込めた空気と共に、待ち続ける。

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