〚二人だけの。〛
'もし魔法が使えたら、どんなのがいい?'
僕がまだ全然幼かった頃に、当時高校一年生
だった兄さんが言った。
'わからない。
好きな事をすぐできるようにする魔法とか。'
そこから何言ったかは覚えていない。
勇気がすぐでたら、いいのにな。
夕日のでる頃に。
あしたもすてきな日になりますように。
〚夏〛
夏が来た。
風は寒いと感じていたが、太陽の光が
僕が想っていたよりも強くて、逆に風が
ほしいくらいだ。
猛暑日の中。
僕ら学生達は下校する。
彼の後ろ姿をみながら。
ふとため息をつく。
前までは、彼の後ろ姿をみる瞬間はない
だろうと想っていた。
だが、今では空いているみたいだ。
あしたもすてきな日になりますように。
〚隠された真実〛
この前、転校生が来た。
中国出身だからと性格が悪いと
一人で勝手に想っていた。
その子は想っていたよりも優しくて
同性だが、惚れてしまう程美しかった。
僕には好きな人がいるが、その子の方が
多分何倍も美しいと想うだなんて、簡単に
言えるわけがないでしょう。
仲良くなった気がした。
放課後一緒にその子と帰った。
何か、視線を感じて咄嗟に後ろを振り返ると
彼がいて、少しびびった。
その時、その子がさ。
'僕の眼、本当はカラコンなんだ。'
そう聞いて、彼の眼をじっと見つめた。
'本当は何色なの?茶色じゃなくて。'
'実際は、水色だ。'
そうだった。
その子は、出身は中国だが、ロシアとの
ハーフだと。
また視線を感じる。
あしたもすてきな日になりますように。
〚風鈴の音〛
ちりんちりんと。
音が鳴り、風が家に来たようだ。
学校帰りに彼を見かけた。
彼のいる班は清掃がoffだったから。
僕より早く家に帰っている。
普段は顔面強強で想ったより親切だからこそ
他の学生達からとても好かれている彼の
コーディネートが気になってしまい、ふと
気づかれないよう彼をみつめた。
最近暑い日が多い。
だから、半袖短パンなのかもしれない。
熱中症予防にも、ちゃんと水筒を持ち出している。
そうゆうとこをみると、やっぱ人間だなと
感じる。
きっと、どんだけださい半袖短パンを着ていても
彼の顔面は崩れず生きることでしょう。
そんな彼が僕はすき。
あしたもすてきな日になりますように。
〚心だけ、逃避行〛
彼が好き。
廊下を通り過ぎる時。
偶然、彼と眼が合う時がある。
なぜか僕は恥ずかしくなって。
その場から消え去りたくなる。
あしたもすてきな日になりますように。