IROHA

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9/12/2022, 2:05:56 PM

一度だけ。
全てを投げ出してみようかと思った。
結局それは叶わなかったけど、
今もまだ記憶の中に残っている。


映画好きな貴方と
たった一度だけ、
一緒に観た映画は今でもよく覚えているよ。
映画の後に寄ったカフェも。

そのときに貸した映画の原作の本。
まだ持っていてくれてるのかな?
もうずいぶん昔の事だから、
とっくに処分しちゃってるかな?

たぶん、、二度と逢うことはないだろうけど、
もし、まだ持っていてくれたら、嬉しいな。


最後のメール。
ちょうど、七夕の日。
「お互いの願いが叶いますように」
送り合って、それきり。


私は今、幸せです。

貴方も幸せでいてくれることを願います。


9/11/2022, 1:02:35 PM

ピリピリ…ビリ。
今日も新しい1日が始まる。
特に変わらない毎日だけれど、月日は変わる。

昔から使うカレンダーは日めくり式。
昔は、おばあちゃんが毎朝めくっては
「無事に、今日が始まるね」
と、嬉しそうに言っていた。
日めくりカレンダーをめくらなくても、
毎日は容赦なくやってくるのに。

昨日の1枚をクシャっと丸めてゴミ箱に捨てる。
そうすると昨日の自分を捨てたような気持ちになる。
「……リセット…」
と言えば聞こえは良いかも。
昨日の自分を捨てて、新しい自分で今日を始める。
おばあちゃんも毎日をリセットしてたのかな。

そんなことを考えながら、今日も生きる。


9/6/2022, 2:00:26 PM

コッ‥コッ‥コッ‥コッ…
静かな部屋に僕だけが小さく響く。

「もう少し、もう少しだけ。」
全身がピシピシ痛い。
あと少ししたら、きっと僕の役目は終わるんだと思う。

君が小さい時には、僕はもっと威勢よく大きな音で
色々な時間を伝えていたのに。
今じゃ情けないくらいに微かな音でしか、
時間を伝えられない。

『コレもかなり古いよねー。そろそろ買い替えたら?』

君のコドモが僕を見つめて音を出す。

『気に入ってるんだよ。そう簡単には手離せないなぁ。』
『ふーん。でも、音が小さいから父さん聞こえないでしょ?』

僕も気になってることを君のコドモはサラっと言う。

『不思議な事に、そいつの音はわかるんだよ。
…長い付き合いだからね。』

君はそう言うと僕を見つめる。
僕は君の優しい音が好きだった。
いつだって僕を包み込んでくれる温かい音。

君は目を瞑る。
少し微笑んでるように。
僕もあまり痛みを感じなくなってくる。

「あー…そろそろかもしれない。」

最期の時間を君と迎えられて嬉しいな。

そして、時を告げる。

コッ‥コッ‥コッ…コッ…
ポーン…ポーン…ポー…

9/5/2022, 3:14:55 PM

カタイカタイ殻で覆われて守られていた。
だけど、意外にも殻は脆くて、すぐに割れてしまった。
私はまた新しい殻に潜り込む。
「今度は大丈夫かな?」
すると、可愛らしい音がして、私は空に浮かんだ。
『あんまりキレイじゃなかったぁ!』
フッと、私は落ちていく。

パチンッ!!

また、壊れてしまった。
「……」
なんとも言えない悲しい気持ち。
「キレイだったら、大事に持っててくれたのかな?」
私としては、私の好きな色の貝殻を選んだつもりなのだけど。
そろそろと、壊れてしまった殻から出てみる。

もう空は赤く染まっていて、暗闇がすぐそこまで迫っている。
「早く次のお家探さなきゃ。」
私は急ぐ。
「今度はもっとキレイなお家にしなくちゃ。」
モノクロの世界で。
でも…あれ?
私の選ぶお家はキレイじゃないなら…
「キレイってなんだろう?」

9/3/2022, 1:02:15 PM

何かあるんだったら、
些細なことでも話してね。
そうすれば、早く治るから。

…それが出来てれば、こんな風にならなかったよ。
何かはあるけど、
うまく言葉にならない。
音に出せない。

自分の事を話すのは昔から苦手。
と、言うかキライなんだよ。

それでも…
治りたいから、
話して、少しでも、
内側にある「何か」を外側に出してかないと。


なかなか、ハードルの高い治療だなー。

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