あの手紙はどこへいったのだろう。
ちゃんと燃えて灰になってあなたに届いただろうか。
手紙だけじゃない。
花も写真も貝殻も全部届いた?
あなたがいない割に私は頑張ってる方だと思うよ。
いつか会えた時は抱きしめてたくさん褒めてね。
▷手紙の行方
君は優しいから。
優しい人に甘えられない。
君は愛情深いから。
自分を一番初めに犠牲にする。
君は臆病だから。
いつでも明るい笑顔でいる。
だいじょうぶだよ。
僕はいい人じゃないから。
僕には甘えてもいいし厄介ごとを押し付けてもいいし不機嫌な顔をしたっていい。
それでもずっとそばにいるから。
だいじょうぶだよ。
だいじょうぶだよ。
▷ただひとりの君へ
宇宙って怖い。
こんな小さな星の小さな国の小さな町でうずくまっているような僕には、無限に広がる宇宙が怖くてたまらないんだ。
でもそんな宇宙だって、実は考えもしないような大きな存在の手のひらの上にあるだけなのかもしれない。
僕は小さい。
無力な存在。
どんなにあがいたって手のひらの宇宙に煌めきひとつ起こせやしないだろう。
いつかぱちんと手のひらが閉じられるかもしれない。
抵抗なんて無意味だ。
誰が何をしたって変わらない。
だから今日も僕はここでうずくまっている。
なんて、言い訳探しもそろそろ飽きてきたな。
▷手のひらの宇宙
飛び出した腕を毛布にそっとしまう。
目にかかった前髪をそっとはらう。
すべすべのほっぺにそっとキスをする。
ふと目が覚めた明け方にそっと感じる幸せ。
早く大きくなってほしいような。
このままでいてほしいような。
そんなわがままを許してね。
愛おしい匂いをそっと吸い込んだ。
▷そっと
あたたかなリビングから一歩踏み出すと異様に冷たいフローリング。
外かと思うほどに温度の下がった廊下を、つま先立ちでぴょいっと駆け抜けた。
エアコンの効いた寝室はぼわんとあたたかくて、でもベッドに入ると布団はひんやりしていて。
交互にやってくる寒さとあたたかさは、あなたが来てしまえば全て解決。
待ちかねた体温が隣に横たわれば冷たい足を押しつける。
小さな悲鳴に口元が緩んだ。
いつもごめんね。
いつもありがとう。
私は冬がだいすきだ。
▷あたたかいね