はやく雪が降るといいね、ときみが笑う。
嫌だよ寒いから、とぼくは答えた。
そんな後ろ向きなぼくのことなんか無視して「雪だるま作ろう」って有名なアニメ映画の歌を口ずさむもんだから笑ってしまった。
ほんの先の未来、不恰好な雪だるまをベランダに並べる姿が目に浮かぶ。
きみがいるとあったかいね。
寒がりなぼくにはやっぱりきみが必要みたいだ。
▷冬は一緒に
とりとめのない話をしよう。
友人や家族にわざわざ連絡するほどでもないことを、あなたには話したくなる。
電車で赤ちゃんに手を振られて癒やされたとか。
新しいパンプスで靴擦れしちゃったとか。
駅の近くにケーキ屋さんができたから今度行きたいとか。
きっと他人からしたらなんでもない日々の出来事。
それを共有したいと思うたびあなたのことが好きなんだと実感する。
うんうんと優しい相槌が心地いい。
おれは最近ね、って話してくれる声が心地いい。
ずっとそばにいて。
いつまでもとりとめのない話をしようね。
▷とりとめのない話
人の心とはどこにあるのだろう。
胸の中?頭の中?
それか有名な漫画で読んだ、人と人との間に生まれるものなのかな。
私はあなたといると心が迷子になる。
思考や記憶まで引き連れてどこかへ行ってしまうんだ。
私の心とあなたの心が触れ合うことはきっとない。
それでも私はただひたすらに想う。
恋焦がれ愛してると呟く。
この気持ちは一体どこから生まれているのだろうか。
▷心と心
優しく甘いだけの言葉で夢を見させて。
あなたの真実はあなたにしかわからないのだから。
何も知らないままでいたい。
現実からの逃避行。
夢の中で目を閉じる。
今日も言って。
君だけを愛してるって。
▷夢と現実
君は窓際の一番後ろ。
私は廊下側の一番前。
狭い空間。
遠い遠い距離。
ちらちらと交わす視線がすぐにほどけてしまう。
少し前まで真ん中の一番後ろで、ノートの端っこに落書きし合っていたのにね。
小さなはなればなれは私たちのこれからにどう影響するんだろう。
チャイムと共に近付いてきた足音に何かが始まる予感がした。
▷はなればなれ