「カーテン」
ひらりひらり
風に乗って揺られているカーテン。
「私は、なにものにもなれないの?」
そう、不安になりながら過ごす日々。
カーテンの隙間から漏れている光を見て、
私は泣いている。
夜になると朝が来て欲しくなくて、
「朝が来ませんように」
そう願っている。
私は、ひとりだ。
弱い人間だ。
「雨の香り、涙のあと」
雨が降っている。
思い返してみると、君との思い出は雨の日が多かった。
君と出会った日。告白された日。初めてデートした日。喧嘩した日。誕生日。
そして、今日。君は星になった。
全てが雨の日だった。
だから、雨の香りがすると君を思い出す。一つひとつの思い出は宝箱の中に閉じ込めたはずなのに、思い出してしまう。
雨だから、君が星になった姿を見ることも出来ない。そう思うと、涙が出てきた。
傘もささずに歩いていたせいなのかおかげなのかは分からないけど、涙のあとは残っていない。
これから先も雨が降る度に、雨の香りを感じる度に君を思い出すのかな?
ちょっとつらいな。
だけど、晴れた日は星になった君の姿を探す。
「君だけのメロディ」
人それぞれ個性がある。
みんなそれぞれ違う。全く同じ人なんてどこにもいない。
色んな音がある世界。違う音が重なり合うことでひとつのメロディになる。
私たち人間も同じ。色んなことを経験して、自分だけのメロディになる。
「さらさら」
彼女のサラサラとした髪の毛が、風に舞っている。
彼女とあと何度この場所に来れるのだろう。思い返すと本当に色々あった。だけど、その思い出の一つ一つには続きもあった。その物語の終わりが近づいていることに気がついたのは、ついさっき。そう、彼女は余命3ヶ月の命だった。前々から体調が悪そうにしていて、何度も病院に行くように言ったが、彼女は「大丈夫」と言って病院に行こうとしなかった。だけど、今日の朝、仕事の準備をしていた彼女が突然倒れて、病院に運ばれた。検査の結果は癌だった。医者によると、身体中にがん細胞が巡っていて、もう手遅れだそうだ。とても悔やんだ。無理やりにでももっと早く病院に連れていけば結果は変わっていたかもしれないのにって。だけど、どんなに悔やんでいても結果はもう変わることはないなら、残された時間を彼女と今までにないくらい楽しもうと決めた。それと同時に、もう1つ自分の中に決心したことがある。それは、彼女の前では絶対に泣かない。
「巡り逢い」
寝れない夜に、考えた。
私は1人だ。何かあってもだれも助けてくれないし、居なくなっても分からないような存在だ。昔誰かが言っていた。
「必要な時に必要な人と出会う。」
そんなことないってわかっている。
だって、今までそんな人と出会ったことがないから。
だから、私は期待しない。
人と人との巡り逢いは奇跡かも知れないけど、心から尊敬する人、助けてくれる人なんて会えるわけない。