修学旅行で笑う君。
バスで全てが終末に届いたと感じる僕。
朧気な未来は、卒業式が終わってから始まる。
紅い放課後、子猫は、失った日々を思い返す。
秋風に狂喜乱舞する、イチョウ。
孫の顔線香花火に火をつける、年老いた君。
こうして、人生は終わっていくのか。
幼い頃とおなじ、
小さい閃光に輝く、生涯の伴侶となった愛する君。
花火よりは、美しい時を、一緒に巡れたかな。
どっちかが死んでも、
いい歳して泣くのはやめましょうね。
貴方は、やはり、美しい。
───────恒久に、愛してると誓うよ。
赤べこの頭をツンと撫でて頭を揺らす君。
笑顔を綻ばせて、僕の持ってきた差し入れに喜ぶ。
見つめることしか出来ない僕は、せめて、笑っていて欲しいと、現実を突きつけない。
君が泣いたら、僕が笑えなくなるからね。
────そうだろ。僕が好きな君。
『また会いましょう』
なんて、別れてから言う言葉だろう。
どちらかが相手のことを嫌いになって、
やっと始まる言葉だろう。
互いが互いを好きなまま、そんな言葉言わないで。
そうだね。
ごめん。
手術がんばる。
退院祝いは、焼肉で。
もう、病室の赤べこは、揺れない。
そんな折、目に入るのは僕と君のツーショットの写真。
裏には、
『手術絶対成功!!』
『クリームパン死ぬほど食べたい!!』
『ディズニーランド泊まりたい!!』
『二人で、幸せになりたい!!!!』
丸く小さい字で書かれた、
『泣いちゃダメだよ。あと、ごめんね』
───対面同席五百生
こんな素敵な言葉に、初めて出逢いました。
もうこれで、
なんで僕が君のこと好きなのか、
分かった気がしたよ。
この初恋に、懐かしいと口走ってもいいかな。
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調べてみてください。良かったら。
飛べない翼なんて無い。
形のない歌と一緒だ。
少女が想像する雪の積もった世界と同じだ。
もう、きっと、夏は死んだ。
代わりに、冬が咲いた。
似て異なる二つは、愛おしい。必ず、だ。
翼は必ずしも、飛ぶ為にあるものでは無い。