まるこ

Open App
9/4/2023, 6:32:30 PM

恋をした。

こんな恋の仕方ははじめてだ。

ドンと衝撃が走るでもなく、運命を感じるでもない。
この人はきっと運命の人ではないんだろうな、
でも、今ここで運命の人に変えてしまいたいな。
この笑顔のためなら。
と思える恋。

38度のぬるま湯に浸かって、じんわり暖かくなってくるような、そんな恋。

毎日がきらめいていて、
こんなに満たされた気持ちになれたのは
いつぶりだったっけ。

あなたの横顔を見ながら思う。

どしたの。笑
って、私が見つめると少し照れるあなたが愛おしい。
ずっとずっと私の世界の中で抱きしめておきたい。

これは、あなたに贈るラブレター。

え?きらめき?きらめきがラブレターの題名?
ってあなたは笑うかも。

あんまりロマンチックなこと言うと、
あなたは恥ずかしくなってすぐ茶化すから。

でもね、きらめき。

あなたは私の光。

あなたにわかって欲しい。

きっとあなたに出会わなければ、
この恋を失えば私もう二度と立ち直れないかもしれない。
と思うほどの恋はできていなかった。

あなたのおかげ。

あなたに出会わなければ、支え合い理解し合うことの意味もまだ分かっていなかった。

あなたに出会わなければ、
愛される。を、受け入れる。ということは
まだ分からないままだった。

あなたは毎日、私を褒めてくれる。
毎日、可愛いと褒めてくれる。

そしてあなたは、
君は可愛いよ。と同じくらい
君がたとえ可愛くなくたって構わない。好きだよ。
をくれる。

だからね、あなたは私の光。

少し後悔もある。
あなたと出会わなければよかった。

出会ってしまったから、いつか来る先のお別れがとても怖い。
あなたを失ったあと独りで歩いて行ける気がしない。

だからなるべく、長生きしてね。

私も、あなたが強くなくたって、美しくなくたって、構わないの。

あなたがあなたのままでいてさえくれれば、
私はそれで充分よ。

8/28/2023, 5:46:25 PM

久しぶり。って笑うと
あなたは幽霊でも見たみたいな顔をして
絞り出したように
……元気してた?
って聞いてくる。

元気してたよ、大丈夫。
あなたの方こそ、無理してない?
って聞いても
困ったように笑って、大丈夫だよって。

あなたのその、予想外の出来事が起こった時
困惑するくせも
1年経った今でも同じだなあって
私は少しだけ嬉しくなる。

あのね、あの日、
私はあなたにお別れを告げたじゃない。

あの選択、間違ってなかったと思うの。

あなたは1年でこんなにも大人になって
立派になって、素敵な人に成長してる。

私もあなたと離れてから
毎日毎日泣いて、辛かったけれど、
もう前に進めている。

時は止められないから。

進むしかなかったから。

私は今だってあなたのことが好きだけれど
それは伝えない。

あなたも私には伝えない。

私たちは言うなれば両思い、ね。

分かってるのよ。
あなたの気持ち。

私がいつもこうやって思い出したようにここに帰ってくるとびっくりするけど、
その困惑の中に嬉しさや複雑さがある事くらい、
分かってるのよ。

全部の言葉を飲み込んで、
2番目に好きな人のことを運命の人って呼んで
あなたに話すの。

ほら私、幸せよ。

だからあなたも早く、幸せになってよ

私がまたあなたといたくなって、
この土地に戻ってくる前にさ。

またね。

って私は手を振るの。

元気でいてね、
元気になれない時は
元気になれる人のそばにいてね。

また突然ここに来ても、
また困ったように笑ってね

それじゃあね

8/21/2023, 4:19:22 PM

空を飛びたい

8/19/2023, 2:21:49 PM

あの時と同じ。

8/17/2023, 10:24:11 AM

彼女は案外普通の日常を生きている。

朝起きて、きちんと歯磨きを忘れずにする。
最近は自炊をサボっているので
たまごサンドか鮭おにぎりをコンビニで買う。
朝ごはんを作る分の時間早く起きてしまうのが
彼女にとってはまるでとても
勿体ないことのように感じるのだ。

勿体ない。
寝る時間を削ってまで、
食にこだわりとか、ないしな。

そう、彼女は結構な面倒くさがりで、
ズボラで、だけどそんな彼女にだって、
ひとつやふたつ、
大切なものはあったりする。

彼女は別にお金に困っている訳でもないのに
いつまでも同じ財布を持ち、
いつまでも同じハンカチを持ち、
そしていつまでも同じ髪型でいる。

忘れられないのだ。

否、忘れたくないのかもしれないな、と
彼女は思う。

私を幸せの頂点からどん底へと
引きずり下ろしてきたあんなやつの顔も
好きだと言ってくれた髪型も
いっそあいつの所にだけ、
衛星が墜落してくるとか、
あいつの家だけボロすぎて、あいつの部屋だけ
崩れ落ちるとか、してくれないかな。
とも思う。

でも別に恨んでいない。

それなりにいい別れだった。

あの別れのおかげで私は大人になれたし。
なんて考えながら
もう炭酸の効果なんて溶けてしまって
全く分からない
ただいい香りだけはするお湯に身を沈める。

明日はたまごサンドだな、
と決めると彼女は浸かりすぎて逆上せかけていた
浴槽から出る。

最後わざわざ肩まで浸かったのが余計に
効いたかもな、とふと思う。

明日は誕生日だったっけ、
壁面に貼られたカレンダーを見て彼女は思い出す。

私が私をはじめるために、
あいつを終わらせておかないとだな。

せっかく1つ歳をとるんだ。
新しい私でいたい。

彼女は無機質なゴミ箱の中に
ハンカチと、財布を投げ入れた。

Next