あの頃の私へ
時々同じ夢を見る。
その夢は、何もない世界で幼い私が泣いている。
私が手を伸ばして、幼い私に触れようとしても、私が触れる前に消えていく。
消えたところには、幼い私が持っていたペンダントが落ちている。
それを拾うと夢から覚める。
今日も同じ夢を見た。
やっぱり幼い私が泣いている。
私は手を伸ばそうとした。
だけど、やっぱりやめた。
どうせ伸ばしても、夢から覚めてしまう。
そう思っていると、幼い私が近づいてきて言う。
『タスケテ…モウ…イヤダ…。』
私はそっと抱きしめた。
「じゃぁ…落ち着くまで一緒にいよう。」
二人で長い長い夢から覚めずにいた。
逃れられない
「ハァ…ハァ…ハァ…」
どれだけ走り続けたのだろうか。
足に感覚がないほど、長い長い距離を走った。
そんな気がする。
「逃げないと…逃げないと…“アイツ”が来る…!」
僕は重い足を、引きずりながら走った。
“アイツ”から逃げないと…。
「フッ…この俺から逃げ切れると思うか?」
俺は画面越しの、絶望した彼奴の顔を見て楽しむ。
何度脱走しても同じことだ。連れ戻すだけ。
嗚呼…早く絶望した彼奴の顔が見たい…。
「お前は…俺から“逃れられない”からな。」
俺は赤い、とても赤いワインを飲んだ。
また明日
「じゃぁね〜。“また明日”!』
「うん。“また明日”」
友人と別れた後、毎回一人になると考えてしまう。
《明日なんて来るんだろうか》
もし明日が来てしまえば、どんな未来が待っているか分からないから。
もしかしたら、最悪な結果になったり、裏切られたり…そんな事を考えてしまう。
そんな自分が嫌いだ。
友人を信じてあげられてない。
明日が来なければ良いのに…。
透明
私には色がない。
どんな色も似合わない。
私は役には染まるけれど、自分の色がない。
「役は良いけど…感情がないね。」
なんて言われるのは日常的にある。
私は永遠と“透明”なまま。
理想のあなた
君が僕に抱く理想は高すぎる。
そんな君に絶望してほしくない。
今までの恋人も
「理想と違う」
なんて言って、離れて行った。
今度は絶望しないでね…。