銀の人

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5/24/2024, 12:21:14 PM

あの頃の私へ

 時々同じ夢を見る。
その夢は、何もない世界で幼い私が泣いている。
私が手を伸ばして、幼い私に触れようとしても、私が触れる前に消えていく。
消えたところには、幼い私が持っていたペンダントが落ちている。
それを拾うと夢から覚める。

今日も同じ夢を見た。
やっぱり幼い私が泣いている。
私は手を伸ばそうとした。
だけど、やっぱりやめた。
どうせ伸ばしても、夢から覚めてしまう。
そう思っていると、幼い私が近づいてきて言う。
『タスケテ…モウ…イヤダ…。』
私はそっと抱きしめた。
「じゃぁ…落ち着くまで一緒にいよう。」

二人で長い長い夢から覚めずにいた。

5/23/2024, 11:43:36 AM

逃れられない

 「ハァ…ハァ…ハァ…」
どれだけ走り続けたのだろうか。
足に感覚がないほど、長い長い距離を走った。
そんな気がする。
「逃げないと…逃げないと…“アイツ”が来る…!」
僕は重い足を、引きずりながら走った。
“アイツ”から逃げないと…。

 「フッ…この俺から逃げ切れると思うか?」
俺は画面越しの、絶望した彼奴の顔を見て楽しむ。
何度脱走しても同じことだ。連れ戻すだけ。
嗚呼…早く絶望した彼奴の顔が見たい…。
「お前は…俺から“逃れられない”からな。」
俺は赤い、とても赤いワインを飲んだ。

5/22/2024, 10:40:48 AM

また明日

 「じゃぁね〜。“また明日”!』
「うん。“また明日”」
友人と別れた後、毎回一人になると考えてしまう。

《明日なんて来るんだろうか》

もし明日が来てしまえば、どんな未来が待っているか分からないから。
もしかしたら、最悪な結果になったり、裏切られたり…そんな事を考えてしまう。
そんな自分が嫌いだ。
友人を信じてあげられてない。

明日が来なければ良いのに…。

5/22/2024, 7:30:34 AM

透明

 私には色がない。
どんな色も似合わない。
私は役には染まるけれど、自分の色がない。
「役は良いけど…感情がないね。」
なんて言われるのは日常的にある。
私は永遠と“透明”なまま。

5/20/2024, 11:28:46 AM

理想のあなた

 君が僕に抱く理想は高すぎる。

そんな君に絶望してほしくない。

今までの恋人も

「理想と違う」

なんて言って、離れて行った。

今度は絶望しないでね…。

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