何もいらない
中身は空っぽ
何もいらない
楽にいきたい
ただそれだけ
もしも未来を見れるなら
とりあえず自堕落な生活を過ごしたい
もしも未来を見れるなら
高額宝くじの当選番号を知りたい
そして同じ日に同じものを買えば
晴れて億万長者の仲間入り
んー、ちょっと待てよ
自分がちゃんと当選しているかも
一緒に知っておくべきだ
当選していないのに宝くじを買おうとすれば
何か不幸な事が起こる気がする
違う宝くじを買ってしまったり
そもそも買えないアクシデントに遭遇したり
はたまた未来が変わってしまったり
はー、どこかに当たりくじ落ちてないかな
つい最近宝くじには愛想を尽かしたばかりなのに
また宝くじの話してる。。。
無色の世界
先立った妻と半生を共にしたこの家も老朽化が進んでいた
住み慣れた我が家を離れるのは名残惜しいが、息子の手筈で近くのグループホームに移り住むことになった
引っ越しの準備で息子が部屋を整理していると、奥から一冊の古いアルバムが出てきた
開いてみると中には何枚かの白黒写真が綴じられていた
撮ったことを今の今まですっかり忘れていたが、妻と写る写真を見て昨日のことのように記憶が蘇った
それこそ確か家に眠っていたフィルムカメラで試し撮りした時のものだと思う
今ではもう無くなってしまった公園で妻と2人で出掛けた時のものだった
何の変哲も他愛も無い日常を切り取った写真
それでも無色の世界で微笑む妻は心の中で色鮮やかに映し出されていた
桜散る
桜散る
コップ酒に一片の桜
花より団子の春うらら
夢見る心
いつから夢を見ないようになったか
最初から夢など持ち合わせて居なかったかもしれない
―――将来何になりたいですか?
幼稚園を卒園するときは"本屋さん"
小学生では"プロゴルファー"や"実況アナウンサー"
これらを文集に書いた覚えがある
どれも当時、瞬間的に興味を持ったものだ
でも本気で向き合ったことは一度もなく
心のどこかで"無いな"と嘲笑する自分が居た
良くも悪くも達観していたと言えるかもしれない
夢見る心は強い力になる
推進力のあるエンジンのようだ
その力を発揮するには信用してあげる必要がある
疑念を持てばブレーキになる
自他共に疑いを持ち続けた私は
つまらない人間になってしまったなと思う