花を見るとフラッシュバックする記憶がある。
蝉の声。
踏切の音。
微かに香る血の匂い。
人々と電車の悲鳴。
視界の隅に映るカーテンのようなスカート。
そして…線路の脇に咲くひなげし。
私の女友達…、いや、恋人があちらへ飛んだ瞬間だった。
過呼吸が止まらない。
動悸も収まらない。
あれから1年。夏の季節になり、よくひなげしを見るようになってからは特にパニック発作のようなものがよく起こる。
何をしていても、彼女が死ぬ直前、
私の手を取り囁いた言葉が頭から離れない。
“君はともだち。”
…確か、そんな歌詞を綴った曲があったよな。
今更ながらそんなことを思い出し、調べる。
…レイ。あぁ、どうして。
曲名には彼女の名前が入っており、歌詞には彼女が遺したあの言葉が。
取り憑く必要なんてない。
君がいない世界など、もはやどうでも良いのだ。
大丈夫、私ももうすぐ行くよ。
君へのいじめや差別を見ないふりしてきた責任を抱えて。
遅くなってごめんねレイ。
今私も行くから__。
繰り返す
彼女を失った女の子。
彼女に恋をしていた少年。
美しい世界で___透き通った、世界で。
また、君を愛せたなら_______
(“フラワー”
︎︎この作品は、私の実体験を元に創られたものです。)
曇りの日は嫌い。
あの日を思い出すから。
家族を失ってから知った、幸せ。
あの当たり前が幸せだったと、やっと理解した。
愛するものがある幸せ。
僕はもう、理解したくない。
Bye-bye, my love.
Bye-bye, my toy.
Bye-bye, my body.
(“bye bye…”)
保育園生の時
「すいーつやさんになる!」
小学生(低学年)の時
「キャンディやさんになる!」
小学生(高学年)の時
「小説家になる!」
中学生の時
「副業でも、小説家になれたらいいな。」
高校生の時
「安定した職に就きたいです。」
大学生
「楽して生きたい。」
現在
「この現実から逃げたい。」
(“叶わぬ夢”~夢の移り変わり~)
「いっ…!」
ずきん、と突如にして足裏に鋭い痛みが走る。
見ると、薔薇の棘が刺さっていた。
ここは薔薇の園。
辺り一面に薔薇が咲き乱れている。
中にはアーチを利用して上へ上へと成長する強いものもある。
私は今日、ここに呼ばれて来たのだ。
尊敬のあの人。
尊敬すると共に、強い嫉妬心にも苛まれる、
親愛なるライバル作家にだった。
家のポストにカードが入っていたのだ。
“とある薔薇園に来て欲しい。そこにはいる時は、靴は脱いでね。花が潰れてしまうから。”
と丁寧にご注文付きで。
で、今日。
ちゃんと来てやった訳なのだが…一向に姿を見せる気配が無い。
何をしているのだろう。
痛い思いだけしに来させられたのでは無いだろうな。
イライラが止まらない。
すると、
「おぉい!此方だよ!此方を見給え!」
元気なあいつの声が響いた。
何処だ。
視界の隅に動いている影が写った。
それを追い掛けると、
薔薇園の隣にある7階建てのいかにも高そうな豪邸の屋上部分に彼が立って手を振っている。
「そんな所で何を「君ー!聞いてくれー!!」
かき消された。
「君にピッタリの花を見つけたんだ!!」
私にピッタリの花?
なんの事だろう。
「今から見せてあげるね!」
不審がっている私を他所に、彼は歩き出す。
屋上の、ふち部分へと。
やっと何をしようとしているか気付いた私は咄嗟に叫ぶ。
しかし。
「大丈夫!きっと美しいさ。」
そう言い残し、彼は堕ちた。
落ちた先は薔薇の上。
薔薇の棘が彼の素肌に刺さり、痛々しい傷を作っていた。
だが、その傷から滲み出る彼の血液は
その周りの薔薇を赤く、黒く、染めていた。
彼が染めた花は不吉にも17本だった。
いつか、話した事がある。
黒薔薇の花言葉について。
17本の薔薇について。
確か黒薔薇は、「恨み」「憎しみ」。
17本の薔薇は、「絶望的な愛」。
何が私にピッタリの花だ。
最後まで腹立たしい奴だ。
如何して、こうなってしまったのだろうな。。
薔薇独特の香りに血液の香りが混じり、
辺りには毒々しい香りが充満していた。
(“花の香りと共に”)
最後無理矢理感ありますがどうかお許しください。