花を見るとフラッシュバックする記憶がある。
蝉の声。
踏切の音。
微かに香る血の匂い。
人々と電車の悲鳴。
視界の隅に映るカーテンのようなスカート。
そして…線路の脇に咲くひなげし。
私の女友達…、いや、恋人があちらへ飛んだ瞬間だった。
過呼吸が止まらない。
動悸も収まらない。
あれから1年。夏の季節になり、よくひなげしを見るようになってからは特にパニック発作のようなものがよく起こる。
何をしていても、彼女が死ぬ直前、
私の手を取り囁いた言葉が頭から離れない。
“君はともだち。”
…確か、そんな歌詞を綴った曲があったよな。
今更ながらそんなことを思い出し、調べる。
…レイ。あぁ、どうして。
曲名には彼女の名前が入っており、歌詞には彼女が遺したあの言葉が。
取り憑く必要なんてない。
君がいない世界など、もはやどうでも良いのだ。
大丈夫、私ももうすぐ行くよ。
君へのいじめや差別を見ないふりしてきた責任を抱えて。
遅くなってごめんねレイ。
今私も行くから__。
繰り返す
彼女を失った女の子。
彼女に恋をしていた少年。
美しい世界で___透き通った、世界で。
また、君を愛せたなら_______
(“フラワー”
︎︎この作品は、私の実体験を元に創られたものです。)
4/7/2025, 11:44:31 PM