霜月 朔(創作)

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9/5/2025, 6:05:55 AM

言い出せなかった「」



秋の空は、何処までも高く、
少し涼しくなった風が、
罅割れだらけの、
私の心を吹き抜ける。

どんなに後悔しても、
逆さに時は流れない。
なのに、私の心は、
そんな理さえ、
見えない振りをする。

お前は、あんなにも、
私に微笑みかけ、
側に居てくれていたのに、
言い出せなかった、
「お前を愛している」。

怒りで我を忘れ、
お前を傷付けておきながら、
自分の非を認められず、
言い出せなかった、
「私が悪かった」。

お前は、こんな私に、
再び手を差し伸べてくれたのに、
どうしても素直になれず、
言い出せなかった、
「もう一度やり直そう」。

私の心の中には、
お前に言い出せなかった、
「」達が、
瓦礫のように、
重たく積み重なっている。

そして、私は、
後悔に雁字搦めになって、
ただ、立ち尽くす。
言い出せなかった「」。
終わった恋の、墓標。

9/4/2025, 7:10:20 AM

secret love
 

私と君の恋は、
誰にも言えない、
秘密の恋。

だって。貴方と私は、
周りから見たら、
恋人同士じゃない。
只の友達なんだから。

偽りの恋を飾るように、
作り物の愛の言葉を紡ぐ。
それはまるで物語のように、
美しい紛い物の宝石。

私は君を抱き締める。
過去の恋から逃れたくて、
今、眼の前にいる君が、
本当の恋人だと、
自分自身に魔法をかける。

君の瞳は、
過去の恋を見たままで。
君の心は、
過去の誰かを愛したままで。
それでも私の腕の中で、
甘く蕩けた声を溢す。

何処にも存在しない。
でも、
今、ここに確かに存在する、
罅割れた心を埋めるだけの、
秘められた恋。

それでも。
君を愛してる。
君の耳元に、そっと、
媚薬のような言葉を囁き、
今夜も永遠の夜に倒れ込む。



9/3/2025, 9:39:16 AM

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9/2/2025, 4:48:02 AM

夏の忘れ物を探しに

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