神様が舞い降りてきて、こう言った。
ある日。
神様が舞い降りてきて、
こう言った。
『わたしの目には、
あなたは高価で尊い。
わたしはあなたを愛している。』
俺は思った。
…巫山戯るな、と。
そんな耳触りの良い事を、
それらしく言っておいて、
結局。何もしてはくれない。
神様の有り難い御言葉じゃ、
腹は膨れない。
それならいっそ、
悪魔の方がまだマシだ。
少なくとも彼奴等は、
むかつく綺麗事を言わない。
だから、俺は。
神に背き、悪魔を騙し、糧を得る。
…それで、いい。
誰かのためになるならば
こんな私など、
生きている価値など無い。
常々そう思っている。
しかし、生きたいと願っても、
生きられなかった人を思えば、
天に与えられ、今尚ある生命を、
無下にするのも躊躇われる。
もしも。
誰かの為になるならば、
私は、この生命を差し出そう。
生きている価値もない、
私の様な人間でも
人様の役に立てる、
数少ない機会だろうから。
私の生命と引き換えに、
誰かの生命が救われるなら、
こんな役立たずな私でも、
生きた意味があった事になる。
だが。
出来ることなら。
『誰か』の為に、
ではなく、
『大切な人』の為に、
この生命を散らせたい。
君の為になるならば、
この生命など、
惜しくも何ともないから、ね。
鳥かご
鳥籠の中の小鳥は、
まるで囚われの姫君の様で、
可哀想だと、思っていた。
だけど。
鳥籠から飛び出したとしても、
外は、余りに危険だらけで、
小鳥は無惨な死を遂げるだけだろう。
一瞬の自由を求め、
その生命を捧げるのか。
生命を永らえる為に、
不自由を受け入れるのか。
広い世界を知らなければ、
狭い鳥籠の中が世界の全て。
鳥籠の中と鳥籠の外。
どちらが幸せかなんて、
俺には解らない。
…だから、俺は。
外の世界なんか、知らない振りをして、
餌だけは与えてくれる飼主の下で、
鳥籠の中でくるくると踊る、
青い小鳥で居ようと思う。
友情
いつもお前は、俺の隣にいてくれて。
いつの間にか、俺には、
それが当たり前になっていて。
俺は何処か自信なさげなお前を励まし、
お前は常に忙しい俺を支えてくれる。
困った時には、お互いにフォローして、
時にはライバルとして競い合う。
友情とは、素晴らしい。
俺たちは当にそんな関係。
そして、お前は。
優しく微笑んで、
何故か少しだけ恥ずかしそうに、
俺に言うんだ。
…君は、大切な親友だから。
と。
親友。友情。
それは素晴らしく、
だが、時には残酷な言葉だ。
何故なら、俺は。
お前と親友以上の関係になりたいと、
密かに思い続けているのだから。
花咲いて
ずっと貴方が好きでした。
多分、オレがそんなことを言っても、
貴方は信じないだろうけど。
貴方と初めて会ったとき。
オレは絶望の中にいて。
貴方の気遣いも優しさも、
全部嘘だと思ってて。
そんなオレを、
貴方は見捨てず、
そっと遠くから見守っててくれた。
だからオレは死なずに済んだ。
花咲いて。
そして、いつか花は散る。
密かに咲いた貴方への想いも、
気付かれないまま、いつか、散る。
それまでは。
貴方の足元でひっそりと咲く、
花で居ようか…と思うんで。
どうぞよろしく。