霜月 朔(創作)

Open App
7/26/2024, 5:58:35 PM

誰かのためになるならば



こんな私など、
生きている価値など無い。
常々そう思っている。

しかし、生きたいと願っても、
生きられなかった人を思えば、
天に与えられ、今尚ある生命を、
無下にするのも躊躇われる。

もしも。
誰かの為になるならば、
私は、この生命を差し出そう。
生きている価値もない、
私の様な人間でも
人様の役に立てる、
数少ない機会だろうから。

私の生命と引き換えに、
誰かの生命が救われるなら、
こんな役立たずな私でも、
生きた意味があった事になる。

だが。
出来ることなら。
『誰か』の為に、
ではなく、
『大切な人』の為に、
この生命を散らせたい。

君の為になるならば、
この生命など、
惜しくも何ともないから、ね。

7/25/2024, 4:26:53 PM

鳥かご


鳥籠の中の小鳥は、
まるで囚われの姫君の様で、
可哀想だと、思っていた。

だけど。
鳥籠から飛び出したとしても、
外は、余りに危険だらけで、
小鳥は無惨な死を遂げるだけだろう。

一瞬の自由を求め、
その生命を捧げるのか。
生命を永らえる為に、
不自由を受け入れるのか。

広い世界を知らなければ、
狭い鳥籠の中が世界の全て。
鳥籠の中と鳥籠の外。
どちらが幸せかなんて、
俺には解らない。

…だから、俺は。
外の世界なんか、知らない振りをして、
餌だけは与えてくれる飼主の下で、
鳥籠の中でくるくると踊る、
青い小鳥で居ようと思う。

7/24/2024, 4:51:55 PM

友情


いつもお前は、俺の隣にいてくれて。
いつの間にか、俺には、
それが当たり前になっていて。

俺は何処か自信なさげなお前を励まし、
お前は常に忙しい俺を支えてくれる。
困った時には、お互いにフォローして、
時にはライバルとして競い合う。
友情とは、素晴らしい。
俺たちは当にそんな関係。

そして、お前は。
優しく微笑んで、
何故か少しだけ恥ずかしそうに、
俺に言うんだ。
…君は、大切な親友だから。
と。

親友。友情。
それは素晴らしく、
だが、時には残酷な言葉だ。

何故なら、俺は。
お前と親友以上の関係になりたいと、
密かに思い続けているのだから。


7/23/2024, 5:41:17 PM

花咲いて



ずっと貴方が好きでした。

多分、オレがそんなことを言っても、
貴方は信じないだろうけど。

貴方と初めて会ったとき。
オレは絶望の中にいて。
貴方の気遣いも優しさも、
全部嘘だと思ってて。

そんなオレを、
貴方は見捨てず、
そっと遠くから見守っててくれた。
だからオレは死なずに済んだ。

花咲いて。
そして、いつか花は散る。
密かに咲いた貴方への想いも、
気付かれないまま、いつか、散る。

それまでは。
貴方の足元でひっそりと咲く、
花で居ようか…と思うんで。
どうぞよろしく。

7/22/2024, 4:59:51 PM

もしもタイムマシンがあったなら


過去に戻れたなら。
やり直したいことは、沢山あります。
後悔していることも、
呆れ返る程、抱えています。

最早抱えきれなくて、
逃げ出したくなる程の後悔と悔恨が、
私を日々苛むのです。

もしもタイムマシンがあったなら。
私は貴方を助ける事が出来るのに。
私は貴方を取り戻す事が出来るのに。

そんな、あり得ないことを考えては、
変えようもない現実に、
絶望するしか出来ません。

過去に戻ることは、出来ません。
どんなに強く望んでも。
ですが、変えられる筈の、
私の未来には、
全く希望はないのです。

戻れない。
変えられない。
ならば…。
いっそ、消えてしまいたい。
そう思わずには居られません。

Next