霜月 朔(創作)

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6/9/2024, 6:34:25 PM

朝日の温もり
 


私は、一人きりでした。
ずっと、ずっと…。
何時戻るとも知れない彼を、
一人で待つ夜は、淋しくて。
布団に包まっても、酷く寒くて。
だから。
私は、貴方の優しさに甘えて、
貴方に温もりを求めました。

貴方は優しい笑顔で、
私の願いに応じてくれたけれど、
貴方の腕に抱かれる度に、
私の寒さは、増すばかりでした。

私と貴方は。
寂しさを埋めるだけの関係だと、
分かっていた筈なのに。
貴方が、私ではない他の人の背を、
とても哀しげな瞳で見つめている事が、
悲しくて、淋しくて。

貴方の腕の中は暖かいのに、
なのに、私の心は酷く寒々しくて。
でも結局、私は。
貴方から離れられないのです。

貴方の隣で目覚める朝は、とても寒くて。
朝日の温もりさえ、冷たく感じて。
私は、未だ微睡む貴方の胸に縋り付き、
何も気付かない振りをして、きつく目を閉じ、
そっと、願い事を呟くのです。

どうか、この許されざる夢から、
早く目覚められますように…と。

6/8/2024, 7:03:19 PM

岐路


人生は、選択の連続で。
その選択に、満足したこともあれば、
後悔した事も、ある。

でも。
一番後悔してるのは…。
君が私から去って行くのを、
黙って見送った事。

あの時、私が、
君と別れたくはないと、
恥も外聞もかなぐり捨てて、
懇願していたとしても、
多分君は、私の元を去っただろう。

だけど。
僅かとはいえ、残されていた、
君と共に居られる可能性を、
無碍に捨ててしまった後悔が、
今でも、私を苛むんだ。

人生の岐路。
後悔に塗れた選択。
それは、
君との未来を、諦めてしまった事。

もしかしたら。
もう一つの道の先には…。
君が今でも、
私の隣に居てくれてる未来が、
あったのかな?

6/7/2024, 7:05:20 PM

世界の終わりに君と



この世界は、着々と、
滅びの日へと向かってる。
それは、人間が抗えない、
大きな『力』によるものらしい。

だけど。
君も、俺も。
この世が滅び行くのを、
指を咥えて眺めてられる程、
達観して無くて。

傍から見たら、
無様で醜いだろうけど、
それでも、
世界を救える可能性があるなら、と。
俺も君も、必死に藻掻いてる。

正直に言えば、
世界が破滅して死ぬだなんて、
…凄く、怖い。

でも。
世界の終わりに君と、
一緒に居られるのなら。
俺は、幸せだよ。

6/6/2024, 5:25:17 PM

最悪


気が付けば、毎日。
お前のせいで、ボクは、
『最悪!』って、言ってる。

掃除の手抜きをして、
お前に怒られて最悪!
廊下をバタバタ走って、
お前に説教されて最悪!
落ち着きが無いって、
お前に文句を言われて最悪!

毎日、毎日。
ホント嫌になる程、お前に向かって、
『最悪!』って言葉を、
連発してる。

だけど。
漸く気が付いたんだ。
…ホントに最悪なのは。
お前に向かって、
『最悪!』って、
言えないコトだって。

旅行だか、出張だか知らないけど、
早く帰って来いよ!
じゃないと、ボクは。
お前に向かって、
『最悪!』って言えない最悪の日を、
過ごさないといけないんだからな!

6/5/2024, 5:44:51 PM

誰にも言えない秘密



秘密なんて、
抱えれば、辛いだけで、
誰かに何かを隠そうとすれば、
知らず識らずの内に、
心は傷付くそうです。

ですが。
秘密という言葉に、
何処か、不思議な魅力を感じるのは、
私が、秘密を持つ事さえ赦されない、
まるで家畜同然の半生を、
過ごしてきたからかも知れません。

小さな秘密さえ、碌に持たない私に、
誰にも言えない秘密が出来た時。
私は、どんな想いを抱くのでしょう?

誰にも言えない秘密が、私に齎すもの。
それは、不安?焦燥?辛苦?
…それとも。
地獄への甘美な誘い、なのでしょうか。

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