霜月 朔(創作)

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4/17/2024, 1:55:27 PM

桜散る


今年こそ、君と一緒に桜を見たかったのに。
それを君に伝える事は…出来なかったな。

今度の休みに、一緒に桜を見に行かない?

以前は、簡単に言えた、
こんな飾り気もない単純な誘い文句も、
今の私には、君に伝える事が出来なくて。
もう遠い昔になってしまった、
君と一緒に桜を眺めた記憶と共に、
眼の前で散りゆく桜を、独りで眺めてる。

桜は散る時も美しい。

君が未だ私の隣に居てくれた頃。
君はそう言って、散りゆく桜を、
少しだけ淋しげな顔をして眺めていたね。
枯葉が落ち、生命の灯火が消え逝く、
晩秋の景色を愛した君らしい言葉だと、
その横顔と共に、今でも良く覚えてる。

桜散る。
君への想いも、未練も、恋慕も。
もう一度、一緒に桜を見たいという、
小さな希望さえ。
君に、何一つ言えないうちに、
今年の春も、舞い散る桜の花弁と共に、
終わりを告げる。

4/16/2024, 1:43:51 PM

夢見る心


何時目覚めるとも知れぬ、
長い眠りに就く貴方。
食べ物を口にする事も無く、
呼び掛けにも応じる事も無く、
ただ、
その、機械的に動き続ける心臓と、
辛うじて保つ、僅かな温もりだけが、
貴方が生きている証。

…貴方が目を覚ましたら。
そんな事を、夢見る心さえ、
失いそうなる、長い長い時。
貴方は静かに眠り続けて…。

長い眠りの中の貴方は、
夢を見ているのでしょうか?
もし、貴方に、
未だ、夢見る心があるのであれば、
どうか…幸せな夢を見ていて欲しい。
そう願っています。

貴方が眠るベッドの脇で、
私は今日も、貴方の目覚める日を、
待っています。


4/15/2024, 1:19:37 PM

届かぬ想い



もう君は、
私を見てはくれないだろう。
良かれと思ってした事で、
私は、君を怒らせてしまった。

でも、君と喧嘩をしたって、
直ぐに仲直り出来るだろうと、
高を括っていた。

でも、君は。
私を赦しては、くれなかった。
言い訳をするチャンスさえ、
与えてはくれなかった。

今でも。
私は、今でも君を見詰めているのに、
君は、私と目を合わせてくれない。
もう二度と、触れる事も、笑い合う事も、
言葉を交わす事さえ、出来ないのだと、
胸の痛みに堪え、君の背中を見送る。

届かぬ想い。
恐らく…永遠に。
それでも、私は。
君の事を、ずっとずっと愛してる。

4/14/2024, 2:48:13 PM

神様へ


人の生命を奪う事でしか、
生きる事が出来なかった日々。
そんな地獄の様な世界から抜け出し、
罪悪感に苦しみ、贖罪の術を探して。

そんな、先の見えない闇の中で、
漸く、見付けた…。
私の生きる希望。

キラキラと輝く魂を持った貴方は、
私には眩し過ぎました。
でも、貴方の笑顔を見ているだけで、
私は救われた気がして居たのです。

血に塗れ、穢れ切った私が、
神様へ祈る事が赦されるのであれば、
この命尽きるその瞬間迄、
貴方の幸せを祈りましょう。

………。

神様へ。
こんな魂さえ汚れた私ですが、
それでも、私の全てを捧げます。
ですから、どうか…。
私の大切なあの人に、
幸運を齎して下さい。

4/13/2024, 2:49:07 PM

快晴


ずっとずっと憧れてた先輩。
今迄、遠くから見てるだけだった。
でも、少し前から、
先輩と少しだけ親しくなって。
会話を交わせる様になった。
先輩に名前を覚えて貰えて。
凄く幸せ…だと、思ってた。

だけど。
先輩と親しくなって、知ってしまった。
先輩には、恋人が居るって事を。

失恋したんだから、
悲しくて、苦しくて、
泣いて泣いて…。
俺の心は、雨模様になるって思ってた。

だけど…何でだろう?
幸せそうな先輩と先輩の恋人の姿を見たら。
俺の心は。
見事な快晴。
雲一つない、青空が広がってる。

何故か…。
涙雨なんか、降りはしなかったんだ。



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