霜月 朔(創作)

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4/16/2024, 1:43:51 PM

夢見る心


何時目覚めるとも知れぬ、
長い眠りに就く貴方。
食べ物を口にする事も無く、
呼び掛けにも応じる事も無く、
ただ、
その、機械的に動き続ける心臓と、
辛うじて保つ、僅かな温もりだけが、
貴方が生きている証。

…貴方が目を覚ましたら。
そんな事を、夢見る心さえ、
失いそうなる、長い長い時。
貴方は静かに眠り続けて…。

長い眠りの中の貴方は、
夢を見ているのでしょうか?
もし、貴方に、
未だ、夢見る心があるのであれば、
どうか…幸せな夢を見ていて欲しい。
そう願っています。

貴方が眠るベッドの脇で、
私は今日も、貴方の目覚める日を、
待っています。


4/15/2024, 1:19:37 PM

届かぬ想い



もう君は、
私を見てはくれないだろう。
良かれと思ってした事で、
私は、君を怒らせてしまった。

でも、君と喧嘩をしたって、
直ぐに仲直り出来るだろうと、
高を括っていた。

でも、君は。
私を赦しては、くれなかった。
言い訳をするチャンスさえ、
与えてはくれなかった。

今でも。
私は、今でも君を見詰めているのに、
君は、私と目を合わせてくれない。
もう二度と、触れる事も、笑い合う事も、
言葉を交わす事さえ、出来ないのだと、
胸の痛みに堪え、君の背中を見送る。

届かぬ想い。
恐らく…永遠に。
それでも、私は。
君の事を、ずっとずっと愛してる。

4/14/2024, 2:48:13 PM

神様へ


人の生命を奪う事でしか、
生きる事が出来なかった日々。
そんな地獄の様な世界から抜け出し、
罪悪感に苦しみ、贖罪の術を探して。

そんな、先の見えない闇の中で、
漸く、見付けた…。
私の生きる希望。

キラキラと輝く魂を持った貴方は、
私には眩し過ぎました。
でも、貴方の笑顔を見ているだけで、
私は救われた気がして居たのです。

血に塗れ、穢れ切った私が、
神様へ祈る事が赦されるのであれば、
この命尽きるその瞬間迄、
貴方の幸せを祈りましょう。

………。

神様へ。
こんな魂さえ汚れた私ですが、
それでも、私の全てを捧げます。
ですから、どうか…。
私の大切なあの人に、
幸運を齎して下さい。

4/13/2024, 2:49:07 PM

快晴


ずっとずっと憧れてた先輩。
今迄、遠くから見てるだけだった。
でも、少し前から、
先輩と少しだけ親しくなって。
会話を交わせる様になった。
先輩に名前を覚えて貰えて。
凄く幸せ…だと、思ってた。

だけど。
先輩と親しくなって、知ってしまった。
先輩には、恋人が居るって事を。

失恋したんだから、
悲しくて、苦しくて、
泣いて泣いて…。
俺の心は、雨模様になるって思ってた。

だけど…何でだろう?
幸せそうな先輩と先輩の恋人の姿を見たら。
俺の心は。
見事な快晴。
雲一つない、青空が広がってる。

何故か…。
涙雨なんか、降りはしなかったんだ。



4/12/2024, 2:37:58 PM

遠くの空へ


私の住む街は、今、桜の花が満開です。
春疾風に舞い散る花吹雪は、
何処か儚くも、とても幻想的で、
その美しさは、筆舌に尽くし難いものです。

しかし。
私の想い出の中の春の花、と言えば、
桜の花ではなく…桃の花です。
幼き日、春になると家族と共に、
咲き乱れる濃桃色の桃花を眺め、饅頭を頬張った。
今も尚、心に残る、温かい想い出です。

遠い地にある、私の故郷は、
今年も、桃の花が満開だったのでしょうか?
きっと今年も、まるで物語の中の桃源郷の様に、
桃の花が、街中を桃色に染め上げたのでしょう。

もう帰ることの叶わない、懐かしき故郷。
私は、桃の香が薫る遠くの空へ、
想いを贈ります。

私は、元気です。
辛い事も多いですが、
素敵な仲間に恵まれて、何とか頑張っています。
何時か、私がこの生を終え、
本当の意味で自由になれた時には、
魂となって、桃の香の薫る故郷の地に戻ります。
その時は、優しく私を受け止めて下さい。

遠くの空へ。
私の想いが、届きますように。


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