夢見る心
何時目覚めるとも知れぬ、
長い眠りに就く貴方。
食べ物を口にする事も無く、
呼び掛けにも応じる事も無く、
ただ、
その、機械的に動き続ける心臓と、
辛うじて保つ、僅かな温もりだけが、
貴方が生きている証。
…貴方が目を覚ましたら。
そんな事を、夢見る心さえ、
失いそうなる、長い長い時。
貴方は静かに眠り続けて…。
長い眠りの中の貴方は、
夢を見ているのでしょうか?
もし、貴方に、
未だ、夢見る心があるのであれば、
どうか…幸せな夢を見ていて欲しい。
そう願っています。
貴方が眠るベッドの脇で、
私は今日も、貴方の目覚める日を、
待っています。
届かぬ想い
もう君は、
私を見てはくれないだろう。
良かれと思ってした事で、
私は、君を怒らせてしまった。
でも、君と喧嘩をしたって、
直ぐに仲直り出来るだろうと、
高を括っていた。
でも、君は。
私を赦しては、くれなかった。
言い訳をするチャンスさえ、
与えてはくれなかった。
今でも。
私は、今でも君を見詰めているのに、
君は、私と目を合わせてくれない。
もう二度と、触れる事も、笑い合う事も、
言葉を交わす事さえ、出来ないのだと、
胸の痛みに堪え、君の背中を見送る。
届かぬ想い。
恐らく…永遠に。
それでも、私は。
君の事を、ずっとずっと愛してる。
神様へ
人の生命を奪う事でしか、
生きる事が出来なかった日々。
そんな地獄の様な世界から抜け出し、
罪悪感に苦しみ、贖罪の術を探して。
そんな、先の見えない闇の中で、
漸く、見付けた…。
私の生きる希望。
キラキラと輝く魂を持った貴方は、
私には眩し過ぎました。
でも、貴方の笑顔を見ているだけで、
私は救われた気がして居たのです。
血に塗れ、穢れ切った私が、
神様へ祈る事が赦されるのであれば、
この命尽きるその瞬間迄、
貴方の幸せを祈りましょう。
………。
神様へ。
こんな魂さえ汚れた私ですが、
それでも、私の全てを捧げます。
ですから、どうか…。
私の大切なあの人に、
幸運を齎して下さい。
快晴
ずっとずっと憧れてた先輩。
今迄、遠くから見てるだけだった。
でも、少し前から、
先輩と少しだけ親しくなって。
会話を交わせる様になった。
先輩に名前を覚えて貰えて。
凄く幸せ…だと、思ってた。
だけど。
先輩と親しくなって、知ってしまった。
先輩には、恋人が居るって事を。
失恋したんだから、
悲しくて、苦しくて、
泣いて泣いて…。
俺の心は、雨模様になるって思ってた。
だけど…何でだろう?
幸せそうな先輩と先輩の恋人の姿を見たら。
俺の心は。
見事な快晴。
雲一つない、青空が広がってる。
何故か…。
涙雨なんか、降りはしなかったんだ。
遠くの空へ
私の住む街は、今、桜の花が満開です。
春疾風に舞い散る花吹雪は、
何処か儚くも、とても幻想的で、
その美しさは、筆舌に尽くし難いものです。
しかし。
私の想い出の中の春の花、と言えば、
桜の花ではなく…桃の花です。
幼き日、春になると家族と共に、
咲き乱れる濃桃色の桃花を眺め、饅頭を頬張った。
今も尚、心に残る、温かい想い出です。
遠い地にある、私の故郷は、
今年も、桃の花が満開だったのでしょうか?
きっと今年も、まるで物語の中の桃源郷の様に、
桃の花が、街中を桃色に染め上げたのでしょう。
もう帰ることの叶わない、懐かしき故郷。
私は、桃の香が薫る遠くの空へ、
想いを贈ります。
私は、元気です。
辛い事も多いですが、
素敵な仲間に恵まれて、何とか頑張っています。
何時か、私がこの生を終え、
本当の意味で自由になれた時には、
魂となって、桃の香の薫る故郷の地に戻ります。
その時は、優しく私を受け止めて下さい。
遠くの空へ。
私の想いが、届きますように。