悲しそうに、淋しそうに、
そんな素振りを見せずに、あなたは
僕の前からいなくなった。
電話の受話器の向こうに、
あなたの、僕への気持ちが残っているのか
聞き出せなかった。
最後にあったとき、あなたと僕は
少しだけ抱きしめ合った。
まさか、あなたと会えなくなるなんて
そんなことを考えもせず、
僕は、突き放してしまった。
ぽっかり空いた穴は、本当にふさがらないって
あとで気づいた。最後にあなたに会った記憶は
ドアを閉めたあなたの背中だけ。
朝起きて、身支度したら、仕事場へ。
昼間働いたら、あっという間に夕方になって、
今度は家へ。
家と仕事場と、なんだか味気ない一日を
されど、いろんなコトが僕に刺激を与えて
日常が過ぎていく。
こんな一日で良いのかな?と思うけど、
長い人生の中の一頁に、
今日の出来事、感情が残されて、
いつか、僕の心の肥料になる。そう、信じて。
日常が過ぎていく。
僕の好きな色、きっとあなたは、知らない。
伝えた気がするけど、もうきっと、忘れただろう。
何かしら、その色は僕に安らぎを与えてくれる。
疲れたときに、その色が目に飛び込むと、
なんでかほっとする。
僕が好きでも、あなたが好きとは限らないから。
ただ、その色が少しでいいから、
そばにあって欲しい。
僕は、すぐ、どこか遠くを求めたりしてしまう。
何も器用にできることなんか、ないのに。
人も、環境も。
どうしようか?もう、捨てて旅立とうか?
身一つで。
なんて、出来っこないのに。
人生の岐路なんて、そんな大袈裟に言うまでもなく。
ただ、単に僕の中の飽きっぽさがはじけるだけ。
岐路には、立たない方がいい。
初めから、岐路は作らない。
一本の道を信じてあるくだけ。それでいい。
あなたといつも、一緒にいるとは限らない。
今日も、僕らの共有した時間は、
とても短かった。
明日も、どれくらい、言葉をかわせるのか?
一緒にいられる時間が、少ないと、
いつ、そばにいたかもわからなくなる。
世界が明日終わるときに、君はそばにいるかな?
僕はいて欲しいけど、きっと、
何もかも一瞬になくなるときだろう。
愛してる。その気持ちだけ、残せるかな。