水平線が見えて、車と並行して走ってる。
列車に乗って、時々揺れる感じが
僕の眠気を誘う。
今日の夕方には、あなたの元へ着くだろう。
長い道のりが、徐々に終点へと近づいて
海沿いから、いつの間にか家が立ち並ぶ街並へ。
列車だったから、こんなに僕は、
あれこれ思い出を巡ったんだ。
今度は、あなたと列車に乗って
遠くに行って、また違った景色を見に行こう。
一人で遠くの街へ、誰も僕を知らない街へ
行ってみたい。
新しい自分探しに。
1箇所にずっといることが、僕には難しいから。
いろんな場所で、いろんな人に出会って、
いろんなことを知ってみたい。
今までの自分が、きっとすごくちっぽけに
なるくらい。
今までの悩みが、なんだかつまらなくなって、
新しいことに集中して、宝物を見つけたみたいに
吹っ切れてみたい。
遠くの街に、憧れを、どこかにいる誰かに希望を
もって。
今日、他人と接することがとても苦痛だった。
時折、こんな風に、自分の態度が悪くなる。
いつも、そんなとき、疲れている自分に気づかず
無理して頑張ろうとしても、頑張れない。
だけど、なぜか、人と話しして、素直な自分、
正直にダメな自分をさらけ出したら、
不思議と救われて、笑顔になる自分がいた。
現実から逃げ出したくてたまらなかった。
人に気づかされ、人に救われ、人と笑う。
なんだか、現実が無性にありがたかった。
あのとき、僕は、あなたに好きだと言えなかった。
どうしても、言えなかった。
ずっと不安でしか、なかったから。
あなたには、他に好きな人がいるんじゃないか?
僕は、あなたを腕の中に包んでも、
好きだなんて、言えないと思ってた。
今、あなたは、きっと他の誰かと
僕の知らない人を愛しているだろうか?
それなら、それでいい。
君は、今、僕よりも幸せであれ。
さっきまで、晴れて暖かいと思ってたのに、
だんだん暗くなってきて、
雨がポツリと、僕の頬に滴り落ちた。
ちょっと油断してたな。
灰色の、気分まで暗くなりそうな、
物憂げな空から、
あっという間に大粒のあめが、
今日は、この夕立がおさまるまで、
ここで、休もう。