大学の新歓コンパの席で君に再会した。
これは夢だろうか。
だったら、夢が醒める前にもう一度プロポーズしよう。
いや、夢で終わらすつもりはない。
いつかは真っ白なドレスを着た君と歩きたい。
幼い頃、家族の都合であちこちに引っ越していた。
日本だけじゃなく海外も行った。
色々と楽しい事もあったけど、やっぱり幼なじみの彼の事が忘れられなかった。
「大学はどこに行くんだ?」と父に聞かれた時に「日本の大学に行きたい」とお願いした。
家族とは離れる事にはなったけど、日本ならまた彼に出会えるかもしれない。
そして新歓コンパの時。
誰かが彼の名前を呼んでいた。
まさか。こんなところで会えるなんて。
胸が高鳴る。
思い切って声をかけた。
「あの…」
この間家でホラー映画を観た。
怖がる君を甘やかすはずだったのに、気がつけば俺の方が頭をヨシヨシされていた。
ちょっと悔しいので、遊園地にデートに行った時に「お化け屋敷に行こう」と提案した。
「大丈夫?結構怖いって評判だよ?」
「いやいや、大丈夫だって。サイトの写真見たけどかなりラフな作りだったし」
それで一緒に入ったけど。
やけに照明が暗いし不気味な音を出しているし。オマケにお化けのチープさが逆に不気味だし。
気がついたら俺は君の腕にしがみつきながら歩いていた。君は涼しい顔をしている。
お化け屋敷を出て近くのベンチに座る。隣に座った君が笑いながら俺の頭をヨシヨシする。
「無理しちゃダメだよ」
なんで涼しい顔をしているんだ。悔しい。こんなの不条理だ。
年の離れた姉から電話があった。
「そっちはどう?一人で大丈夫?」
「大丈夫だよ。一人じゃないし」
「一人じゃない?」
「彼氏と一緒にいるの。幼なじみの彼と付き合っている」
姉はちょっと黙ってしまった。そしてため息一つ。
「そう…」
「ごめんね、姉さん」
「謝らなくていいのよ。私はいつでも貴女の味方だし。…でも何かあったら遠慮なく相談して」
「大丈夫。私は幸せだよ。泣かなくてもいいくらい」
「よかった。じゃあ、また電話するからね」
「うん、また電話してね」
電話を切ってふうっと息をつく。彼は今お風呂に入っている。何か飲もうかな。
「あれ?電話してた?」
「うん、ちょっとお姉ちゃんから」
「そっか。いつかご家族にも挨拶に行かないとな」
「まだ早いよー」
今日は二人で映画を観ている。のんびり出来るように家のソファーで。
かなり怖いホラーらしいけど大丈夫だろうか。
飲み物や軽くつまめる物を用意して、軽く雑談をする。
ヤバいシーンが出て来たら見せないようにしなくては。
そしてついにそのシーンがやって来た。
「うわっ!」
思わず君に抱きついてしまった。
君はちょっとびっくりしたようだったけど、それは俺が抱きついたからのようだった。
最初はキョトンとした顔だったけど、次第にニマーっと笑みを浮かべる。
「結構怖がりなんだねぇ」
ああ、恥ずかしい。穴があったら入りたい。
その後君に頭をヨシヨシされた。なおさら恥ずかしい。